けいおん

□ピンク
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少し照れくさい、そんな空気を吸い込んで吐き出した。"好きだ"―… 簡単な一言に気持ちは充分過ぎる程重く響く。目の前の幼なじみ、いや恋人はあからさまに顔を真っ赤にさせるもんだからこっちはこっちで恥ずかしくなるし、凄い嬉しい。

「ねー」
「ん?」
「頭撫でて」
「えー無理」
「なんでよ?」

だって私も撫でられるの好きだし、恥ずかし気もなくポロッと出た言葉に澪は一瞬動きを止めたけど緩慢で何処か遠慮がちなその手を私に近付けた。そのまま黄色いカチューシャを髪の毛に引っ掛からないように優しく外してベッドに置く。――― 律の髪柔らかい、私の髪の毛を巻き込みながら上下左右に頭を撫でていく澪のその動作が優し過ぎて気持ち良かった。ああ、やばい。眠すぎる、最初は我慢してた。なんせあの澪が頭を撫でてくれるんだ。このままの方がいいに決まってる。でも人間の三大欲求は強すぎた。そのままゆっくり澪の太股に頭を置けば目の前には明る過ぎる照明と綺麗に微笑む澪の笑顔。やべっ、今超幸せなんだけど。

「なんか夫婦みたい」
「え、夫婦でしょ?」
「じゃあ、律が夫だよ?」
「当たり前だろ」

とりあえず、とーさん眠いわ。額に感じる温もりは澪の手だ、後部に感じる柔らかい感触は澪の膝だ、唇に感じる暖かいそれは、きっと澪の唇だ。ほら、もう夢の中だ。








20100629





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