けいおん

□はじけた、惑星
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  静寂を一切した音は私
  の心の外から内を駆け
  巡るように響いた。そ
  の過激なドラムスティ
  ックさばきと彼女の表
  情は泣いてるようで



   まる で悲、鳴




ハじケた、惑星









  あくまでも"試しに"と
  いう範囲で行ったのに
  彼女のドラムはその範
  疇を尽く越えていった
  。唖然としていたのだ
  ろう、秋山さん?小首
  を傾げた今笑っている
  彼女は本当に先程の彼
  女なのだろうか。

  「す、すごいよりっちゃ
  ああん」

  飛び付くように唯が抱
  き着いた。それを何も
  慌てることなく受け止
  める。

  「何年間やってたの?」
  「中学からだから七年間
  かな。あ、でも途中止め
  たから事実五年ぐらい」


  ペットボトルのキャッ
  プを外して透明な液体
  を口に運ぶ。喉がごく
  、ごくと鳴りながら徐
  々にペットボトルの中
  の液体は減っていった
  。

  「おかしかったかな?」

  飲み終えた彼女の視線
  が唯から私に変わり、
  一向に動かない私を変
  に思ったのか彼女にし
  ては遠慮がちに聞いて
  きた。それに私はよう
  やくハッと気が入って
  急いで答えた。

  「うーうん、すごい」
  「へへ、ありがと」


  照れたように笑う彼女
  を見て、こういう時は
  子供らしいんだけどと
  思う(実際大学生なの
  だけど…)汗を拭きな
  がら立ち上がりソファ
  ーに腰を下ろした。唯
  も彼女の隣に腰を下ろ
  し私はというと二人の
  前に座った。


  「他に部員いるのか?」
  「あと一人いるんだ」
  「担当は?」
  「キーボード」
  「むぎちゃんって言うん
  だよ。今委員会でいない
  けどそろそろ来ると思う
  んだー」

  かーわぃぃんだよぉー
  。嬉しそうにはしゃぐ
  唯に彼女はこれまた一
  緒に嬉しそうにはしゃ
  ぐ。おー、そりゃ楽し
  みだな。でしょ、でし
  ょ。


  「唯はギター、だったっ
  け?」
  「そうそう。名前はギー
  太」
  「名前あるのかよ!!」
  「へへ、可愛いでしょ?」

  ギー太を頬になすり付
  けながら目は完全にど
  っか行っていた。まぁ
  、愛してやまない。ギ
  ターは唯にとって宝そ
  の物なのだ。それを感
  じとったのか彼女は顔
  は呆れながらも温かな
  瞳で唯を見つめていた
  。

  「秋山、さんは?」

  何かを考えたように呼
  ぶのは私の名前だった
  。一瞬だけ区切って、
  顔をしかめた彼女に少
  し気にしたが、そこは
  綺麗にスルーすること
  にした。


  「 私は、ベース」
  「じゃぁ、リズム担当だ
  な。私と同じ」

  あとでむぎちゃん?来
  たらセッションしよう
  ぜ。口角を上げて笑う
  彼女はそれまで一休み
  とソファーの腕に頭を
  預けて寝る体勢。それ
  に私は慌てながら非難
  の言葉をかけるが、い
  いの、いいのと動く気
  配ない。

  「じゃあ、私もー」
  「唯もー」


  ま、しかたない今日ぐ
  らいいいか。今、直聞
  こえる耳鳴りのような
  爆発音、それはさっき
  の彼女のドラム音。あ
  あ、このドラム好きだ
  。そんなことを思いな
  がら息をはいた。










20100703










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