わんぴーす

□泥酔
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例え、どれだけ情を言葉に変えて抱き合ったとしても、所詮ふたりは溶け合うことはおろか、ひとつにもなれない。






泥酔








「恨んでも構わないわ」
――…でも、誘ったのはそっちよ。
不適に笑うその表情に浮かぶは、曖昧、残酷、歓喜。抑え付けられた手首の骨が悲鳴を上げる。触れたその熱が篭るように私の中に流れ込む、そんな感覚に私は眉を潜めた。悲しいと思うならそう言えばいい、すれば優しい彼女のことだ甘やかすに違いない。その冷たい身体で私を抱きしめてくれるかもしれない。

「恨むはずないわ」
「そう、」
「ただあんたが恨んで欲しいだけでしょ?」

――…違う?

攻防戦は膨れ上がり、逃げ場を失う。もう戻れなくなった状況に、負けじと言葉はつらつらと出ていく。体勢は劣勢。押し倒され、手首を捕まれた状況を第三者から見たとしたって明らかにその状況は私が不利だと伝えている。

「…そうね、それも当たりだわ。でも違うのよ。私は恨まれたい反面に愛されたいのよ」

――…それはあなたも同じでしょ?

口角を上げて微笑む。黒い瞳に吸い込まれるようにして深い根さえも救い上げようとする。悪魔…、嫌違う。それはまさしく堕天使のようだ。喉を大きく鳴らす。逃げれない状況を作り出しているのはやはり彼女だ。

「そう、と言えば満足?」
「ええ…とても」
「なら言ってあげるわ」

――…愛されたいわ、
消えかけた言葉を最後にたどたどしく目の前の人物を睨みつけた。それに気を良くしたロビンは甘美帯びた顔近づけた。もう吐息さえ感じ取る程の距離に抑えられない気持ち良さが全身を支配した。

「ナミちゃん、エムね」
「この場面で良くそんなこと言うわね」

だって楽しいもの。年相応になど今のロビンを見ればだれも言えないぐらいの、そう、まるで新しい玩具を見付けた子供のような。かと思えば先程の狂気じみた笑みなんかではない暖かい笑みを私に向け呟く。なんだと言うのだ、鳥かごに入れられた鳥にさえ、最後の希望を上げないように翼をもぎ取る。そんな息苦しささえ感じる程、目の前の優しさが末恐ろしい。
「そんなことしないわ、死んでしまうもの。私なら……そうね。自身ごと鎖を巻き付けてしまうわね」
「それこそ悪趣味ね」
「あら、褒め言葉だわ」


抜けれない、逃げられない、止まらない。しくじった。負けたのは私ではないか。最後の留めとでもいうように耳を甘噛みし、妖艶さを残し囁いた



「愛してるわ、ナミ」



何も根拠は入らない、自由も、世界も。仲間と目の前の彼女がいればそれでいいとさえ今の私は思い、それで命を落とすならそれも本望。言えばロビンに傷付けられるならそれさえ全て受け入れられる。


だから壊して、
愛して、恨んで、
逃げないで、私を傷付けて


すればあなたは報われる?


決してひとつになれないなら
せめてもの馴れ合いを。











20100804











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