わんぴーす

□斬新までな愛情も
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溺れたいが為
それは億劫な私の欺瞞









「ロビーン」

この扉邪魔ね。いや、やっぱり二人っきりになれる空間だから撤回。私はお風呂に続く扉を開けて泡だらけの背中に飛び付いた。

「ナ、ナミちゃ…」

わざと胸を押し付けるように抱きしめれば案の定ロビンはあたふたし始めた。あーあ、顔なんて真っ赤。本当可愛いなぁ。こういう時間は幸せを良く感じられる。結局は悪行業者の纏め役、言うなれば親玉みたいなもんでしょ?恨みなんてとことんあるんではないだろうか。命なんて幾つあっても足りないのよ。私は殆ど事務作業だけども。でも結構大変なのよ、ここの全てを把握して仕事振り分けしたり、取引したり、馬鹿共が無駄に破壊するからその始末とかそんなのを私入れて三人でやってる。それも、ロビン達に比べたらって思う。なんてない。私はただの事務作業をやってるだけなんだから。

「何考えてるの?」

突然黙り込む私を不思議に思い顔を覗かせた。不安げに見つめる淡いブルーの瞳と相対する。それが歯痒くて目線を反らしてんー、と甘える腕に力を入れた。

「ナミ、この一ヶ月大変だったでしょ?」

――…それはロビンも一緒でしょ?

「良くやってくれるから、此処は安心ね」

――…ロビンがいるからだよ

「いつも、ありがと。」

――…こちらこそありがと


頭を撫でる手が心地好い、毛先で遊ぶ指が擽ったい。

「風邪引いちゃうわ」

爪先からゆっくり入って、ロビンを待つ。腕を引っ張り催促した。早く来て、口に出さずに飲み込んだ。ロビンはいつだって笑顔でそれに答えてくれる。

「今日は甘えん坊ね」
「だって久しぶりなんだもん」

口を尖らせて拗ねるような口調でそう呟きそのまま口元は湯舟へ、ブクブクと息を吐きお湯の中で膝を抱えて座った。すると突然お湯の中から腕が伸びて私の手首を取る。そのまま引っ張られ抵抗力などない私の身体はされるがまま。その力に任せて目の前には目を細めて微笑むロビン。あまりの近さに驚いた。顔に熱が帯びたのはお湯の熱さのせいよ。額に触れた唇、何も出来ぬまま向きを変えられ後ろから抱きしめられた。やばい、ロビン。っ…胸が。――… おかいしよとばかりにギュッと抱きしめられた。私の身体は硬直しそのままおとなしく腕の中へ。


「そうね、こうするのも久ぶりだわね」

唇が耳に当たる。ばか、囁かないでよ。くすぐったいじゃない。
「ナミちゃん、耳真っ赤」
低い声が私の身体を震わせる。あまりの恥ずかしさと抑えられない愛しさと、甘えたい衝動が交ざって結局はロビンの腕の中で無理矢理身体を反転させて首に腕を巻き付けた。「ロビン」――…好きよ。大好き。

「そんな声で呼ばないで、抑えられないわ」

抑えないでよ。いつ死ぬかもわからないのに。そんな不安さえも拭い去ってよ。押し当てるだけのキスをした。唇から伝う温もりが欲を誘う。もっと、お願いロビン。「ナミ、」
唇を離して見つめた。瞳は潤み熱に浮された甘い表情に心臓は一拍脈を打つ。多分私も同じ顔をしているに違いない。

「のぼせるわ、続きはベッドね」
そう呟き唇に触れるだけのキスをした。










斬新なまでの愛情も


(すべては狂喜に満る時が来るかしら)













20100812












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