わんぴーす

□渇ききって
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わたしはいまあなたにあいたい。どうし
てもあいたい。それは喉の乾き。渇望と
同類、決してまやかしなんかじゃない。
ロビンがわたしのものにならないと知っ
た私はまだ何もかも知らない時で、私は
引き裂かれる程の痛みを覚えた。死刑宣
告されたような絶望的な精神。肉体的に
訪れる廃れ。身体が動こうとさえしない
、怠くてこのまま何もしたくない。それ
でも気付かれないように毎日を過ごした
。それさえも苦痛で、ロビンを視界に入
れる度に叫びたい衝動が込み上げるのだ
。名前を喉が潰れてしまうほどに呼びた
い、私の中に捕まえておきたいほどに抱
きしめたい。            


ロビンは本当に美しかった。可愛らしか
った。可憐ですべてが私を魅了させた。
頭の先から爪先まで、それは欠陥などな
い精密人形のよう。一つを除いては… 



「ゲーム…かぁ、」         


人間が満たす欲求が強ければ強いほど心
理的状況は破壊される。私は今それに近
い状態なんだと漠然的に思ってしまった
のは、ゲームとして受け入れている自分
がいるからだ。ロビンは心が欠けている
、愛する感情がわからないでいた。彼女
の境遇からして当たり前なのかもしれな
い、けれど私は悲しく、淋しく思えてし
まった。はっきり言えば彼女の心がほし
かった。ロビンは私を見ていない、なら
ばゲームの一環として彼女を私に振り向
かせたら勝ちというロールプレイングの
ような感覚で毎日を行えば自分の感情で
動いてるのだとしても本当は私の身体か
ら糸が吊り下げられていて第三者に操ら
れているんじゃないかと思うわけだ。な
んでそう思うのと聞かれても愚問だ。 


―― そのほうが楽だからだ     





「ロビン好きよ」          


彼女は毎日の動作のように決まって曖昧
に笑うのだ。            





これが平凡な毎日を送る術なのよ   







渇望













20100927





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