underground.X

□東の仏が死んだ
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「…すっげ…いい眺め…」
「…っ、久遠…お前、」
「そんな格好で凄んだって効力ないって…伊達さんだって承諾しただろ?」
「…っ、だからって、どうしてこんなことする必要があるっ?」
「えへ、その方が楽しいから☆」
「久遠!!」
「ほらほら、早く解かないと。タイムリミット過ぎたら本当に襲っちゃうよ?」

ニヤッと笑うと伊達さんは唇を噛んで本格的に抵抗を始めた。






―1時間前―



「…何やってんですか2人共」

鑑識室を訪れた宮城は入るなり怪訝そうに眉を寄せた。目の前には椅子に縛り付けられ脚も縄で縛られた伊達と、それを腕を組んで眺める久遠の姿。伊達は目を見開いたが久遠はいつも通り飄々とした表情で宮城を見た。
「何って、縛りプレイ?」
「検証!!実験!!」
「そんな必死に否定すると余計アヤシいって」
可笑しそうに笑う久遠に伊達は顔を歪めた。
「検証…あ、もしかして一昨日被疑者死亡で捜査打ち切りになったOLばかりを狙った事件のですか?」
「そ。被害者達は皆こうやって縄で縛られた状態で発見されてる」
久遠は机の上に散らばっているガラクタの中からロープを取り出し、さらに伊達の胴体に巻き付けた。
「でも事件は解決してるじゃないですか。まあ、すっきりとは言えませんけど…今更どうして伊達さんが実験台になってるんです?」
「俺が頼んだの。犯人は何で被害者達を縛ったのかと思って」
「それは…抵抗されたくなかったからじゃないですか?」
「普通ならね。でもコイツは、皆死んだ後に縛ってるんだよ」
「あ…」
「それに見てよ、この縛り方。よくSMで使われる亀甲縛りに似てない?」
「え、えすえむ?」
「…あすかちゃんには分からないか(笑)まあそういうプレイがあるんだよ世の中には」
「つまり犯人にはそういった癖(へき)があったかもしくは何らかの意思表示か…」
大人しく縛られていた伊達が腕をもぞもぞと動かしながら口を開いた。
「だからどういう心理状態だったのか知りたくて伊達さんに協力してもらったの。犯人はもう居ない訳だから、知りようが無いからね」
口をへの字にしてロープを見つめていた宮城は少し首を傾げた。
「で、わかったんですか?」
「うん」
「そうなの?」
伊達は驚いたように目を見開いて久遠を見上げた。

「わかった。伊達さんを縛っても面白くない。つーわけで、あすかちゃん縛らせて☆」
「………失礼しましたっ」
嫌悪感丸出しで部屋を出て行く宮城をニヤニヤしながら見送り伊達に向き直る。

「…じゃ、続けよっか」
「何を?」
「10分以内にその縄から抜け出してみてよ」
「…はぁ!?何で!?」
「伊達さんなら簡単でしょ?あ、でも出来なかったらチューするからね☆」
「……」
「はい、よーいスタートッ」
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