underground.X

□ピンクマグマW
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「はい、特製イチゴミルク」

差し出された淡いピンク色の液体にストローを沈め口を着ける伊達は三上の視線に気付いて顔を上げた。
「…何です?」

「小僧に何か言われたか」
「ブッ」と危うくイチゴミルクを吹き出しそうになった。
「けほっ…三上さん?」
「何年お前と居ると思ってる、顔見りゃすぐにわかるさ。あれから2人で出掛けたんだろう?何だ、襲われでもしたか」
「三上さん!!」
伊達は声を荒げるが三上はその様子を楽しむように目を細めるだけ。居心地悪そうにグラスの柄を撫でていると客が1人入店してきた。
「いらっしゃい」
何気なく入り口に視線を向けた伊達もその人物に目を開く。
「来栖くん」
「…なんだ、お前も来てたのか」
来栖はあからさまに表情を歪めると一席空けて腰を下ろし水割りをオーダーした。三上と2、3言葉を交わす様子を見ると、一見では無いらしい。

「ここには、よく?」
「偶にな。1人で飲みたい時、此処は落ち着くからな」
「随分久しぶりだったね。忙しかった?」
来栖が伊達の部下だと知っているらしい三上が水割りを差し出し訊くと、来栖は煙草をくわえ苦々しく紫煙を吐き出した。
「頼りねぇ班長の下で働くと仕事が倍に感じるんですよ」
「はは、どっちが上司だかわからねぇな、伊達」
2人の視線を受け口を尖らせると、ズズッと甘いイチゴミルクを飲み込んだ。
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