underground.X

□D・V・P
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「伊達さんが風邪!?」
「ああ、症状は軽いらしいが一応インフルエンザ検査の為休むそうだ。宮城、お前今日伊達の代わりに被害者の家に行って話訊いて来い」
「あ、はいっ」

井筒に一礼しデスクに戻ると、「ヘマすんなよ」と一瞥を寄越す来栖にあすかは口を尖らせた。

「…しません」







「あれ、あすかちゃん聞き込み?」
一課を出た所で久遠に出会した。白地に赤い百合の花模様のアロハを着た姿は、到底警察官には見えない。
「はい、これから被害者の家族に会ってきます」
「1人で?伊達さんは?」
「風邪でお休みだそうです。インフルエンザかもしれないって」
「マジで?…ふーん」
少し考えるように視線を漂わせる久遠にあすかは首を傾げた。
「久遠さん?どうかしたんですか?伊達さんに何か」
「え?あぁ、別に。じゃねあすかちゃん、聞き込み頑張って☆」
いつものようにヘラリと笑い軽く手を振って去っていく久遠の背中を見つめ、また首を傾げた。
「…どうしたんだろ…って言ってる場合じゃないっ、約束の時間過ぎちゃう!!ヤバいヤバいヤバい…っ」





なんとか時間に間に合い、被害者遺族の話を聞き報告書にまとめ課長に渡し、あすかはその日珍しく定刻に署を後にした。



「珍しいな、あいつがさっさと帰るなんて」
「デートじゃないすか?」
「まさかっ、あのボタンも付けられないような堅物が?」



バカ3人集に好き放題言われているとも知らず、あすかはスーパーで桃と葡萄に真剣な眼差しを送っていた。
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