underground.X

□K・V・P
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とあるアパートの一室。頭から血を流した男が1人、床に手足を投げ出し絶命していた。
来栖、堀田、轟の3人は顔色一つ変えず、変わり果てた姿のこの部屋の住人に手を合わせる。
「死亡推定時刻は」
「おそらく午前2〜4時の間だと思われます。凶器はそこの……って伊達さん!!まだ終わってないんですから勝手に触らないで下さいよ!!」
指紋の採取をしていた鑑識の溝口は、手袋をはめた手で勝手に凶器を持ち上げている伊達に顔をしかめた。しかし当の本人は口を尖らせながら凶器をあらゆる角度から眺めている。それを宮城が隣で窘めていた。

「…ったく、子供の方がまだ使えるぜ」
来栖の同期であり上司である伊達への眼差しは厳しい。軽蔑の含まれたそれを現場に戻すと更に眉間のシワが寄った。
「そういや、もう一人の馬鹿が居ねぇな」
「久遠さんなら風邪で休んでます」
と、“もう一人の馬鹿”の後輩である武本が溜め息混じりに応える。
「風邪ぇ?二日酔いの間違いじゃねぇのか」

武本の溜め息が移ったように、来栖は深々と溜め息をつき「あ〜…ウザいっ」と一言吐き捨てて隣の部屋に姿を消した。




「久遠さん、風邪なんて珍しいですね」
凶器から興味を失ったのか、いつの間にかベランダにしゃがみ込んでいた伊達の背中に宮城が問い掛けると、


「…ふぅ〜ん…」

と、返事とも独り言ともつかないなんとも気の抜けた声を発した。
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