薄桜鬼BLCP4

□幕末相思相愛
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俺は総司が大好き

ただの好きじゃなくて『愛している』


凄く、凄く愛している


だから……、一時でも『恋人』でいられたこと…凄く幸せだった






『好きなんだ』この言葉が『幸せな悪夢』の始まりだった











僕って残酷な『悪戯』をしたんだね


平助の気持ちを踏み躙るような














『総司、好きだよ』



独り言のような囁きだったのに




『じゃ、付き合っちゃう?』



総司はそう言って俺の手を取ってくれた









『総司…好きじゃないってどう言う事だ?』



なのに…






『ん?そのままだよ?

ただ、僕は君の事をからかっただけ?


本気にしていたの?』














『平助、手繋いじゃおうか?』


畦道を手を繋いだ感覚も



『…人前だろうが!』

恥ずかしくても嬉しかった気持ちの繋がりも






『平助の髪ってさらさらしているよねぇ』


器用な総司に髪を結って貰った感覚も



『そうか?』


『うん

平助の髪の毛って好きだよ

まぁ、直ぐ恥ずかしがるところも可愛いから、好きだけどね』






好きだと紡いでくれた言葉さえも嘘だった?






『からかいのつもりだったんだけど?

確かに平助といるのは楽しいけど…、君って誰にでも好きだって言うでしょ?』



まさか本気だったとか言わないよね?


本気だったらもっと積極的な筈だし…




『其に僕は平助を『同じ幹部』としか見てないから』







そうか、俺だけが舞い上がっていただけなんだ







だったら、一層の事この気持ちごと自分を埋葬してしまおうか


















「おい、総司


今回のからかいは度が過ぎるぞ?」




平助と別れて…と言っても僕は付き合っているつもりはなかったけれど






まぁ、楽しい幹部としての付き合いって言うところ






「だから何?

勝手に舞い上がっていたのは平助じゃない」





左之さんの言葉にも僕は適当に答える





「……ふざけるんじゃねぇ


お前の如何でもいい感覚のせいで『平助』って言う新選組の人間が消えるかもしれねぇんだぞ?」






其でもお前が平助を突き放すって言うなら、俺が平助を貰う






勝手にすればって最初は思った










だけど……








新選組の隊舎が鮮血で染まった日……





僕は左之さんになんて平助を渡したくないって思ったんだ









「…あれ、総司じゃん…

如何かしたのか?」




「…平助、君態と避けなかったでしょ…」



そうさ、あんな不逞浪士の鈍ら刀なんて避けられたさ





だけど、


「生きるのが面倒になっちまった」



どうせ、まだ不逞浪士はわんさかいる



致命傷じゃなかったから、さて今度は誰に殺して貰おうか






俺は今歩いたら確実に腹部の傷が悪化するだろうと判っていながら、立ち上がる



















『生きるのが面倒になっちまった』



平助は確かにそう言った



胸を強く打ったのだろう





短く喀血する彼の後姿に




生きて欲しい



僕の隣で今度こそ『笑っていて欲しい』切にそう思った
















「さぁ、誰だ?

新選組の幹部を討ち取ったとなれば名が上がるぜ?」





不逞浪士に囲まれても刀は構えない



「何だコイツ」



切腹なんてそんな綺麗な死に方、俺には相応しくないから





「死ぬきか?」

「かまわねぇ、『藤堂平助』を討ち取ったとなれば、名も上がるというもの」















しかし、響いたのは己の肉の割ける音ではなく







「ぎゃぁぁぁ!」



刀が混じり合い、一瞬にして目の前が血の海となった




転がる肉塊






「…平助、死ぬなんて赦さないよ


僕は君にまだ、『愛している』事をつたえていない」






響いた総司の言葉は真実?

















しゅるしゅると包帯が巻かれる音と服を着させる衣ずれの音が部屋に響く


「…はい

巻き終わったよ」


総司の部屋で俺は3日という月日を数えた





「如何したの?」


あれから、総司は



『君をどん底に貶めたのは僕だ

……其でも平助は僕が好き?』




今までにない位懺悔をし、俺に愛を紡いでくれた











「総司…好き、愛してる」



首に腕を回してそう言う






埋めた顔を上げられて




「ありがとう

…僕も平助を一生好きだよ、愛してるよ」




と口付けられた



初めての口付けは切なさと甘酸っぱさが広がった

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