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□総司君の無遅刻伝説
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俺は週に一度遅刻をしなければならなかった

これは通院の為、教員達も公認しているから問題ない
それ以外は無遅刻の為、総司の遅刻癖を直した大物としてクラス中にも広まってしまった程だった


『平助がどうしても遅刻しなければならない金曜日にも無遅刻で来るんだ
はっきり言って気持ち悪い』
そう言って総司の一ヵ月半連続無遅刻無欠席の報告をしてくれたのは一君だった


俺は金曜以外は総司の遅刻魔を更正させる為に毎日一緒に登下校しているから確認できるが金曜日も反省文送りではない事には驚いた


「だって平助が受けられない授業って古典じゃない
絶対土方先生に授業内容聞きに行く姿なんて見たくないもん」
と理由を聞いたら、休み時間にそう言われた


今日はその例の金曜の為ノートを貸して貰いながら読解をして行く
「平助って古典って頭痛くならない?」
古典が苦手教科の総司は顔を顰めている
「どっか解読不能な部分でもあった?」
俺は大まかに読解を済ませると顔を上げる
「平助、総司に其れを聞いたら全部って言うに決まっているだろう」
説明をしようとした俺に口を挟む様に一君が言った


「当たり前でしょ
よく一君は頭が痛くならないね
まだ、英語の方が良いよ」
唇を尖らせて総司は言った
「俺は英語の方が解読不能だ」
英語の苦手な一君はこれまた顔を顰める


その二人のやり取りに
「大丈夫だって
後で英語も古典も絞ってあげるから」
俺はニッコリ笑った
次の古典の小テストで、英語の小テストで躓くなんて許さないからという様に
「「………はい」」
大人しく頷く二人に宜しいと言って次の英語の時間の準備を始めたのだった









「良いか、次の小テストは五十点満点のテストだ
二十五点以下の奴は有無を言わさず課題だ良いな」
その一言に英語以外はトップクラスの一君が撃沈した事は言うまでもない









かくして放課後
昼休みは英語苦手集団に俺の纏めノートを問題形式に纏めてコピーした物を渡していたから古典だ、英語だなんて言っていられなかったから、俺は古典と英語だけは壊滅的に出来ない総司と一君にスパルタ特訓を決行したのだ


「ぶ、部活が……」
一君が剣道部員だという事は百も承知だが、敢えて心を鬼にする
「副詞の意味が解るまで帰さないよ
総司も此処の読解が出来るまで帰さないからね」


「「鬼……」」
「褒め言葉としか聞こえないよ」
俺は英語の参考書を読みながらわからない部分を一つ一つ説明していく





結果
「何とか素振りの練習時間までには間に合う」
一君は慌てて道場に走って行く
「ちゃんとプリントやっておいてね
明日チェック入れるから」
その後姿を悪魔の囁きで見送る



残された総司は部活も入っていない為もう少し絞る事が決定
「何処が解らない?」
先程まで俺は英語の参考書相手だったが総司に合わせて古典の図書館から借りた本を読んでいた
「此処」
指差された部分は古文が苦手な総司にはやや難解な読解


俺は持っていた本から文章を抜粋して例を挙げながら順序だてて説明をする


「解ってくれた?」
総司の口調からすると解ってくれたみたいで
「んじゃ、今日は是でお仕舞い
還ろうか」
俺は鞄を持って総司と教室を出る








「あ、そうだ
母さんが総司をもう一度家に連れてくればって言っていたんだ
よかったら小テストの日早く終わるから来る?」
俺は帰り道、何度か総司が家に来た事を思い出し母親が来客に喜んでいたのを思い出したのだ
「……いいの?」
「うん、俺の言えって父さんが単身赴任中で一人増えるだけで嬉しいんだって」
俺はニッコリ笑って言った


家庭の事情で総司が一人暮らしをしている事を知って以来、時折母親がいてもいなくても家に呼んで食事を共にしていた



結果、事情を知ったお人好しの母親が数回総司に会ってまた食事でもどうぞと言ったのだ




「んー、でも今回は僕の家に来ない?
まだ、来た事ないでしょ」
総司の一言に
「でも、いいの?
迷惑じゃない?」
「良いんだよ
それにその小テストの日って丁度姉さんが訪ねてくる日でさ
平助に人目会いたいって利かないんだよ」


総司のお姉さん、一君に聞くと綺麗だが勝気で男性的な部分も多々あるらしい


とてもさっぱりとした女性像だと俺は想像した
「だから……ね?
我侭言って悪いけど」
俺はとんでもないと言って、んじゃ差し入れ持っていくねと言って笑った
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