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□優しさに包まれて
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俺は総司と思いが繋がってから何故か周りに敵意にも似た視線が総司に注がれている事に気付いた





其れと同時に何故か総司が居ない時を見計らって俺に執拗に声を掛ける人達が多くなった



俺達が恋仲と言う事は一君と佐之先生、土方先生以外は知らない



俺は流石に異常を察知して成る丈一人にならない様に気をつけていたのだが……



「……いや……っ
総司……っ」
俺は防音が施された視聴覚室に体格差が歴然とする男子生徒四人とカメラ片手に持つ女子生徒二人



腕を拘束されて……
「悪いね
成績優秀、優等生の藤堂平助先輩の事は一年でも二年でも有名な訳」
恐らく言い出しっぺの男がブレザーのボタンを乱暴に開ける


「……っ」
「大体さ、なんでちょっと可愛いからって総司先輩の側に何時もいる訳?
超目障りなんだけど」
恐らくリボンの色から一年生だろう


「そうそう、総司の側に居られるって思ったのにさ
折角一年の時に超え掛け捲ったのにあんたのせいで元も木阿弥じゃないか」
もう一人の生徒は同じクラスの……確か高科という活発な少女



そう言えば総司には親衛隊がいるんだった
其れも半端じゃない



女子達には俺は邪魔な惣菜だったに違いない
「其れに俺達もさ、丁度藤堂先輩が気に入ったしね」
「この写真ばら撒けば総司先輩もあんたから離れるし」
「また、親衛隊の物になるし」
「俺達の願望、先輩を抱くって事も満たされる……」
「大体さ、男のあんたが総司本気で惹かれる訳ないでしょ」
「流石、高科先輩
勘違いも甚だしいですよねぇ」



媚びるような声と厭らしい手付き
「恭太郎、さっさと始めなさいよ」
高科というクラスメイトは恭太郎と呼ばれたやはり二年の生徒だろう


しかし、他クラスの
「ああ、悪いな
しかし、お前等も厭らしい考え方だよな
ま、ばれなきゃこっちのもんだし
苦しいのは先輩だけだしな
こっちは一回やれば良いし」


明らかに使い捨て当然の言い分
「進藤、腕抑えて置けよ」
進藤と呼ばれた生徒は恐らく一年生
「…ん……っ……あ」
胸を這い回る複数の掌


「何か肌だけは綺麗だよね」
「ホント厭らしい〜〜
こんな姿見せたら総司先輩絶対嫌いなりますよね」
カメラをパシャパシャ回す女子生徒



「いや……っやぁ……っ」
俺は息苦しさと性器を握られる気持ち悪さに身を震わす
しかし、其処は男という者


性器からは白い液体がピチャピチャと音を立てて床に水溜りを作っていた
「感謝して下さいよ
きちんと慣らして上げるんですから」


そう言って指を捻じ込まれた瞬間余りの痛みに
「……っ……いた……っ
お願い……っ…も……っ…やめ…」
泣きじゃくるが勿論赦してくれる様な相手ではない
そして、其処からは真紅の血が流れ先程の精液の水溜りの上に紅いグラデーションを施していく



もう駄目だと思った時
「……ねぇ、君達僕の平助に何しているのかな?」
其処にはいる筈のない総司と一君、其れに千鶴がいた


「……是は……っ」
女子生徒が言い訳しようとするが
「言い訳はしないで下さい
何ですか、白々しい
よって集って風紀副委員長として赦し難い行為ですね」
千鶴は首謀者全員を睨む


「其れに、君達親衛隊なんて僕はどうでも良いし
こんな愚行する子達何て僕『嫌いだし』」
女子生徒は唖然とする


「とりあえず、一君私達でこの人達を先生に報告します」
そう言って首謀者に近付き生徒手帳と校章、学生証を没収する

すると俺は我慢できずに
「げほ……っ……ごほ……っ」
先程から感じていた息苦しさに咳込みと胸の痛みが止まらなくなった


「……平助…っ」
そう言って総司に鞄から(偶然下駄箱に向かう途中であった為)酸素マスクを出されて酷い胸の痛みに悶える俺を楽な姿勢で酸素を与えてくれる


「総司とりあえず医務室から山南先生を呼んでくる」
「大丈夫ですよ、私合気道四段ですから、暴れられても対処できるんで」
千鶴はブラックスマイルで首謀者を有無を言わさず連行した







俺は軽い喘息の発作と中度の心臓発作による呼吸困難で一週間入院生活を余儀なくされた





一日目の夜は偶然母親が単身赴任先に赴いている日だった為、総司が態々連絡を入れて自分が病院に泊まるからと言って一緒にいてくれた



「大丈夫だった?
恐かったでしょ」
そう言って総司は片時も離れようとしなかった


狭い病院の個室のベット、二人で一緒に寝た




「じゃ、僕は学校があるから行くけど、また夕方来るね」
そう言って総司は病院を後にした



昨日の夜は只管総司は俺に優しく言葉を掛けてくれた


二度とこんな目にあわせないし片時も離れないと約束してくれた



だから、あんな行為の後でも辛辣な言葉を吐かれた後でも総司の優しさに包まれたから安心できた











その日の夕方
「平助君、どう?」
そう言って現れたのは総司と千鶴だった
「千鶴先輩がお見舞い行くなら私もって言ったから」


そう言った総司の傍らで持ってきた花を生けている
白い花である



「それで、首謀者は全員退学処分になったからね」
千鶴は真顔で当然の結果だからと言っていた
「其れに、僕もあんな人達と学園生活したくないもんね」




二人は哀れみでなく俺を心から愛してこんな恨み役を買ってくれたんだ……



俺は其れが何よりも嬉しかった






そして、俺は総司にある約束をした
勿論、千鶴が帰ってからだけど






『こんな後で言うのも酷だけど
……僕をも退院した後体調がよければ平助を抱きたい』
と言った総司に俺は
『良いよ
総司なら何されても良いから』


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