薄桜鬼BLCP4

□嫌だけど、大好き
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「……総司!


いい加減にしやがれー!!」



何時もながらイタズラの標的は俺



俺はびしょ濡れの髪の毛を絞り着物を絞り、自室に戻って着物を着替える




何を隠そう、頭上からいきなり盥が降ってきたのだ



お陰で着物をびしょ濡れにされた






しかし、是で飽きたらないのが総司の常で…







「……辛……っ!!」


「クスッ


引っ掛かった


本当に平助は食べ物については確認しないね


其じゃ毒盛られても文句言えないよ?」




俺は恨めしそうにたっぷり塩を辛子を塗られた団子と総司を見て



結局、団子を食べた……が








「……舌が痺れる〜」




泣く羽目になってしまった




「残せば良かったじゃない?」



総司の言葉に俺はムキになり、言い放った



「勿体ないだろう!?


総司は食べねぇだろうけどさ!」



俺は極力食べ物を無駄にしたがらない




「……ゴメン、ゴメン


怒らせるつもりはなかったんだってば」




つい口を滑らせた衝動だろうが、俺はどうしても食べ物を無駄にする事が赦せないのだ





「……其じゃ二度と食べ物にイタズラすんじゃねぇ」




俺の声に何時ものような笑みを浮かべた総司は



「うん


食べ物にイタズラはしないよ?」



何故か楽しそうで



後にこの意味を知り、深く後悔する羽目になるのだ
















僕は嬉々として島原の君菊さんの元へ訪れた




「……まぁ、其は沖田さんらしい発想どすなぁ」




「好きな子にはイタズラしたくなりますからね」



そう言う君菊さんも、実はかなり楽しんでいる様子で






「……では、この様な簪と着物は如何でしょう?」





そう言って貸してくれた、可憐な花柄の着物と蒲公英の簪





僕は平助の驚く姿を想像して笑みが溢れた













翌日



俺は使いから戻って唖然とする




着替えの着物は1着も無くて……代わりに女物の着物が一式置いてあった










「………そー、うー、じ〜……」


俺は顔をひきつらせながら振り向く



案の定、其処には涼しい顔をした総司の姿





「…何?


平助恐い顔してるけど?」



「……是はどういう事だ!」



俺は着物を指差して、空っぽな箪笥を指差して叫ぶ





「可愛いでしょ?


平助に似合いそうだから選んだんだ」




当の本人は涼しい顔をして、相変わらずの笑顔




「俺の着替えをか・え・せ……!」




総司の胸ぐらを目一杯引っ張り、睨んで怒号を浴びせる



「無理だよ?」



総司はにこやかにそう言い切った



「は?」



「だって島原にあるんだもの


序でに寝巻きもね」



さらりと言いのけた総司に、俺は脱力感に見舞われ怒る気力すら無くなってしまった
















「平助の髪の毛ってさらさらだよねぇ



跳ねっ毛なのに」




髪の毛を女みたいに結い上げるなんて初めてだから、何だかドキドキする





「さぁ、出来た



……本当に女の子みたいだね」



着物を着て、更に化粧した鏡に映った自分を見て顔をひきつらせた




「……有り得ねぇ…」


自分で言うのも癪に障るが、女にしか見えなかった
















「……で?


島原に来たなら、さっさと着替えを返せ」




「……本当につれないんだから」



総司は何の為か、とある一室に入り人払いをしてしまった




「……僕が君菊さんの協力を仰いだ理由ってまだ解らない?」





其の瞳が酷く真剣で……、俺は言葉を紡げなくなってしまった





「……僕は平助が好きだよ…


どんな女性よりも君を選びたい」
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