薄桜鬼BLCP4

□湾曲した恋情
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多分、俺って人畜無害な正確なんだと思う


皆傍にいてくれるし、構ってくれるし


子どもっぽいと言われればそうなんだろうけれど



俺は恐らく、人の温もりが好きなのだと思う



だから、自分から近付くし、他人から近付かれてもよっぽどの事がなければ振り払わない




でもさ、この屯所内で何故か最近不機嫌な奴がいる



総司だ



何故だかは判んないけどさ





色んなところで不機嫌を撒き散らしているのだ


「……って、土方さん!

怪我して帰って来るなんて如何したんだよ!?」



夜間の巡察の時、偶々山崎君が他の任務でいなかった






だから


「…座ってよ

今日山崎君いないんだから、俺が代わりにやる」


そう言って止血と消毒を丁寧にやり始める




「…左之さん

悪いんだけど、土方さんの着替え持ってきてよ」




「ああ」

そう言って巡察が一緒だった左之さんに頼んであっちこっち珍しく怪我している土方さんを手当てする




「……お前も山崎に懐くだけあって手当てが上手くなったよな」


まるで子どもの様に頭を撫でられる


「……褒められるのは嬉しいけど……


如何したんだよ?

珍しいじゃん、怪我して帰って来るなんて」



「…羅刹の野郎が暴れたんで手古摺ったんだ」




ああ、成る程そう言う事か


偶にいるのだ、羅刹の中でも如何し様もないのが





其処へ月見酒に誘った総司がやってきたのだ



案の定不機嫌丸出しで




「…あれ

土方さんでも怪我するんですね」



如何やら早く部屋から出てきたらしい




「……俺だって人間だぞ?」



「そうでしたね

何時も稼動していたんで人だって事忘れていましたよ」



土方さんと総司が仲違いなのは知っているが、最近では頓に激しい気がする






「…はい

土方さん、手当ては終わったから、左之さんから着替え貰って早く休みなよ

是、山崎君から化膿止めの薬草煎じたやつ、持たさせられていたから、一応渡しておく」



是以上、土方さんと一緒にいたら総司の機嫌が更に悪くなりそう




「…おう

平助、手当ては終わったのか?」


左之さんと入れ替わって、土方さんの声と共に部屋を後にする


「…済まなかったな、平助

お前も箍を外し過ぎないように飲めよ?」




如何やら、酒の事は筒抜けらしい





















僕は心底苛々していた




最近、羅刹が気が荒いのは知っているし、手古摺っているのも解っている



でも、土方さんを構う平助が如何しても赦せず、手当てを受ける土方さんにも嫌気が差した










平助は如何してこうも皆にもてるのだろうか





















「…如何した?

総司?おーい、そーじーってば」




俺は何か考え事をしている総司に声を掛けながら、酒月に酒を注ぐ





「…ねぇ、平助」


「ん?

何だ?」



俺は酒月に口をつけながら一気に飲み干す




「…あー、やっぱり酒は美味い!

其で何だ?」



酒の摘みにと炊事場から少しばかり貰ってきた煎餅を食べながら聞く





「……平助って何でそんなにもてる訳?」


「…ぐ…っ…げほ…っ」


俺は咽ながら


「…何言って…

もてるのは総司だろ?」


俺はどっちかって言うと皆に子どもっぽいと思われていると考えているのだが





「…そうじゃなくて

…いや、やっぱりいいや」


総司は曖昧に済ませて酒に口をつけた




「…何だよ

ま、いいか

言いたくないなら聞かねぇし」



其が俺の信条だ


浪士相手なら無理にでも吐かせるけど





其後は何事もなく過ぎていった








だから、総司にあんな事をされるなんて思ってもいなかったんだ
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