企画モノ
□七夕企画!第3位
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俺がいつものように汐留と(で)遊んでいると、突然スピーカーから車掌の声が聞こえてきた。
『新宿くん、少し車掌室に来ていただけますか?』
それだけいってプツリと切れて、一瞬皆が静かになる。
「新宿、行ってくる方がいいんじゃないか?」
と都庁に言われ、仕方ないなと思いながら汐留から離れ、車掌室に向かう。
――――…………………
はぁ、と溜息を吐きながら車掌室の前で止まる。
そして、拳をドアの前に出し叩こうとするといきなりドアが開き腕を掴まれ中に引きずり込まれた。
「うわっ!」
バランスを崩しこけるかと思ったが、俺は何かにぶつかりこけることはなかった。
不思議に思って顔を上げると、車掌の顔が近くにあって驚く。
「大丈夫ですか?」
そう声を掛けられ、はっ、となりすぐに離れようとしたが腕が掴まれたままの状態で俺はコイツから離れられなかった。
「っ、離せっ……」
と思いっきり腕を振り離そうとしたが、逆に掴む力を強められ俺は諦めておとなしくした。
「少し来てもらえますか?」
「?」
此処に来る以外に何があるんだ?と思いつつ、俺は車掌のあとに続き奥のドアの中に入っていった。
もちろん、腕は掴まれたまま。
中に入ると、部屋は暗くほとんど何も見えない状態だった。
「目を閉じていて下さい」
そう言われ渋々目を閉じると、パチンッというような音が聞こえ少し周りが明るくなる。
「もう、開けてもらっても構いませんよ」
俺はゆっくりと目を開けて、周りを見る。
それから上を見ると、そこには此処にはないはずの空があった。
しかも、七夕の定番の天の川がその空に流れていた。
「どうですか?」
「…………」
俺はその光景に思わず、息を飲む。
流石の俺でもここまで綺麗な天の川は見たことがなかったから。
「これ……どうしたんだ?」
あまりの光景に見取れていて、やっと発せた言葉はこれだけだった。
「貴方のために用意しました……、と言えば貴方はどうしますか?」
「どうするって……」
俺が戸惑っていると、アイツはふっ、と口元を緩ませた。
「……なんだよ」
「いえ、貴方の表情の変化が可愛らしいので、つい」
堪えるように笑みを浮かべるコイツに腹が立って顔を逸らす。
すると車掌はいきなり俺を抱き寄せた。
「この空はバーチャルのものですが……貴方だけのために用意したのは本当ですよ」
車掌は耳元でそう囁き、抱きしめる力を強くした。
俺はしばらく俯いていたが、寄り添うように車掌の肩に頭を乗せた。
その様子に驚いたのか車掌はずっと俺を見ていた。
そして何かを理解したように微笑む。
「本当に可愛らしい方ですね」
「うるせー……」
といいながら頭を見せないように肩に擦り寄せた。
「……そういう貴方も愛していますよ」
そういって、車掌は俺の顔を上げそのままキスをした。
俺もそれに応え、コイツの身体に腕を回す。
例え偽物の空の下だとしても、俺達は天にいる織り姫と彦星のように愛を紡ぎあった。
――――――――
後書き
七夕すぎて、何日だろうか…
すいません。
つか車掌×新宿ですよ!!
車掌と一緒にいてる凛ちゃんは私の中でツンデレです
しかもツンデレ比率がツン:デレ=9:1
どんだけツンツンしてるんだ(笑)
けど今回はそのデレの部分が書けてよかったですwww
終わりが微妙だけどな←