Nov

□恋だと気付く
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今日は皆出払っていて、新宿さんと俺だけがミラクルトレインに残っていた。

「新宿さん。またやろうぜ!」
そういいながら碁盤と碁石を新宿さんの目の前に出した。

「またかよ。このあいだも俺に負けたくせに。」
「なぁに、まだまだこれからよっ!」
「何がだよ。」
ふっと新宿さんが笑うと、俺はその顔にドキリとする。


最近の俺は何処かおかしい。
新宿さんの事を見ていると、考えていた事が全て停止してしまう。

「両国?やらないのか?」

新宿さんの声に気付き、はっとする。

「お、おぅ!さっさとしようぜ!!」
そういって、準備をし始める。


本当にどうしちまったんだろうな…。


「お願いします。」
「…お前って、いつもこういう時だけきちんとするよな。」
「いいじゃねぇか、こまけぇ事は気にすんな。」
「ったく…、じゃあ俺から始めるぞ。」

パチンと碁石が碁盤にあたる音がする。
それから俺はゲームに集中…しようとした。
だけど目の前に新宿さんが居る為か集中できない。

パチ、パチという音が新宿さんと俺の間だけに聞こえる。
俺が打ち終えて、考えている新宿さんを見る。


やっぱり綺麗なんだよな、新宿さん。
顔とか、指先とか…

…って!何考えてんだ俺は!


「おい、両国。」
「おう。」
「さっきからなに一人、百面相してるんだ?」
「いや、新宿さんって綺麗だなぁって思ってよ。…あ!!」

しまった。つい口に出しちまった!

「…男なんかに言われても嬉しくねぇよ。」

そう言いながら新宿さんは顔を逸らす。
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