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□兄弟の思うこと
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いつも通りのミラクルトレイン。
と思っていたが…。

「凛〜!!」

あいつが来た。


「凛っ!逢いたかった!」
「げっ!慎。」

そう俺の双子の兄、新宿慎太郎。
俺が最も苦手とする相手。


抱き着いてくる慎から逃げようとしたが、すぐに追いつかれ捕まってしまった。

「り〜ん〜、なんで逃げるのかな?」
「お前だからだ!」

叫んで騒いでいると、他の車両から皆が移動してきた。

「新宿さん、なに騒いでる…の…?」
「よっ。」
「し、新宿さんが二人いる!?」

汐留と両国は慎を見て驚いているが、六本木と月島は呆れるように二人を見ていた。

「お二人とも、こちらの方は新宿さんのお兄さんですよ。」
「えっ、新宿さんってお兄さんいたの?」
「知らなかったぜ。」
「どーも。凛太郎の兄の慎太郎です。」

まぁ、挨拶をしているのはいいんだが…

「おい、いつまで抱き着いているんだ?」
「ん?」
「いい加減離れろ。」
「嫌だ。」
「はぁ…。」
と、わかるように溜息をする。

「新宿さん…。」
「そんな、わかりやすい溜息…。」
「凛。」
「なんだ。」
「あいつは今居てないよな?」

慎が言う『あいつ』とは都庁の事だ。

「居ねぇよ、パブリックアートを磨きに行っている時間だからな。」
「そっか。」

と嬉しそうに、抱きしめる力を強くされる。
…少し苦しい…

「なぁ、月島。」
「どうしました、両国さん?」
「新宿さん…、なんであんなに嫌そうなんだ?普通兄弟が来たら喜ぶだろ?」
「あ、僕もそれ思った。」
「えぇ、まぁ…。」
「あの兄弟は特殊だからね。」

誰が特殊だ。特殊なのはこいつだけだ。

そう思いながら、俺は目の前にいる慎に話し掛ける。
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