企画モノ

□1000Hit企画!!美桜様へ
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今日は久しぶりに慎に会える、そう思って帰る準備をする。
その途中で都庁が話し掛けてきた―……。




「はぁ……」

と慎に気付かれないように溜息を吐く
……都庁と話をしてから気持ちが晴れない。
確かに都庁の言い分は分かる…けど、この事は仕方ないんだ。
俺が慎を好きなのは…。

「……ん、りん、凛!!」

名前を呼ばれて、はっ、となる。
どうやらずっと名前を呼んでいたらしい、慎が俺の顔を覗き込む。

「凛、どうした?」
「別に何にもない。あ、あっちに行こうぜ兄さん」
「……」

その後、何事もなかったのように一日を過ごした。
けど、もやもやした気持ちが晴れなくて。
慎に悪いなと思いつつ、家に戻る。

「凛」

家に戻ってから数時間後、俺がソファに座っていると慎が隣に座ってきた。

「なんだよ?」

そう怪訝そうにいうと、慎が真剣な眼差しで俺を見ていた。
俺はその視線から目を逸らす。

「今日、なんか上の空だったよな」

何かあったのかと聞いてくるが、俺は黙って俯いた。
慎が心配してくれているのは凄く分かる。
けど、このことは誰にも……とくに慎には悟られたくなかった。

「凛」

慎が話を促すように名前を呼んだ。
少しの沈黙が二人の間に起こるが、俺は観念して慎に今日都庁から話されたことを話した。
話し終えた後、慎はそんなことかと一言漏らした。
俺はその一言に逆上して、思わず立ち上がり声を荒げる。

「そんなことって……そんなことってなんだよ!!俺がこんなに悩んでるのに、兄さんは何とも思わないのか!?」
「凛、落ち着け」


と慎から制止する声が聞こえた。
だが、俺は一度零した言葉を止める事ができなかった。

「兄さんはっ、そんなことだけですむかもしれないけど、俺はっ」
「落ち着けっ!!」

そう一喝され、次の言葉が出なかった。
しばらくして俺が落ち着いたら、慎は俺をソファに座らせ頭や背中をゆっくりと撫でた。

「なぁ、凛」

突然、慎が俺に話し掛ける。

「それって、そんなに悩むことか?」
「なっ!!」

さっき俺の話しを聞いてなかったのかと問い詰めようとすると、慎に最後まで聞けと窘められる。

「……俺は別に、同性愛だとか兄弟だとか全然気にしてないぞ」

慎がそう話し始めて、俺は黙って話しを聞く。
そして、慎は俺の頬を触れながら話しを続けた。

「俺は凛を……凛太郎自身を愛してるんだ。だから、お前が男だろうが女だろうが、弟だろうが関係ない」

俺はその言葉を聞き、目頭が熱くなる。

「俺は……お前だから好きになったんだ」

そういって俺を抱き込む。
俺は耐え切れなくなり、涙がこぼれ落ちた。
その言葉が嬉しすぎて次々と涙がこぼれる。

「にっ……さ……」

兄さん、と言いたいはずなのに嗚咽がひどく、口にすることができなかった。
慎は背中を摩りながらギュッと俺を抱きしめ、涙を拭いお互いに見つめ合い……。
キスをした。

「んっ……」

ほんの一瞬のキス。
けどそれが俺に凄く幸せな気分にさせた。

「もし……」

慎は真剣な眼差しで俺を見る。
俺もそれに応えるように見つめ返し、慎は話し始めた。

「もし、凛が世間のことを気になるんだったら、世間の目が届かない所に行けばいい」

そういって再びキスをする。

「俺は凛さえいればどこにだって行ってやる。……だから、ひとりで抱え込むな」
「兄さんっ」

俺は思い切り慎に抱き着いた。
慎は優しい眼差しをしながら俺の頭を撫で、深いキスをしてきた。
俺も舌を絡ませ慎に応えた。
そしてお互いに抱きしめあう。
絶対離れない、そう誓うかのように……。

―――――――――
後書き
慎太郎×凛太郎で甘というリクエストでしたが、甘いのかこれは(-"-;)
すいません、こんなもので…。
とにかく甘くしようと思い、慎に甘い台詞を吐かせました。
見事失敗しましたけど←
しかし、この小説さりげなく『慎凛←都』に無意識に頭の中で変換されていて自分自身驚きました。
こんなものでも気に入ってくれればよろしいのですが……。
リクエストありがとうございました!




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