Nov
□兄弟の思うこと
2ページ/3ページ
「そんな事より、慎。」
「なんだ?」
「どうして、此処に来たんだ?なんか用か?」
「凛に逢いたくなったから来ただけだよ。それと―…」
顔を慎に向けられて、キスをされる。
不意打ちに驚いて少しの間なにもできなかった。
慎を無理矢理突き放す。
「お前があいつと出来てないかの確認だよ。」
嫌な笑みを浮かべながら、こっちをみる。
「〜っ…。」
何も言えず、服の袖で唇を拭う。
そうすると突然後ろの扉が開いた。
「ふぅ…。やはり『幻想のオアシス-光の輪-』を磨くのは少々骨がおれるな。」
「と、都庁さん。」
「ん?どうした、六本木?…また来たのか…。」
「また来て何が悪い?」
はぁ、と都庁が溜息をつく。
「『凛太郎』、何かされてないか?」
「…………。」
「されたのか?」
何も言えずに頷く。
「慎太郎さん。」
「なんだ?」
「あまり、変なことをしないで下さい。」
「はいはい、じゃあ俺はもう帰るな。」
そういうと都庁の耳元で何か話していた。
「―――。」
「そんなこと言われなくてもわかっている。」
何、言ったんだ?
「じゃあ、またな。凛。」
「もう来るな。」
そういい合っていると、扉が開き慎はでていった。
「都庁、何言われたんだ?」
そう言うと、少し困った顔をした。
「秘密だ。ほら、皆、もう戻ってお客様の準備だ。」
「う、うん。」
疑問には残ったけど、都庁にそう言われ皆と戻っていった。
――――――……………
「ったく、あいつら早くくっつけよな…。」
凛にあんな事してるけど、本当はあいつと凛がくっつくの待ってんのは俺なんだよ。
それが凛の幸せなんだから。
「さてと、さっさと戻って東京ちゃんでもからかうか。」
不器用な弟をもつと苦労するな、と思いながら中央線に戻っていった。