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□少しの嫉妬
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「新宿!」
隣の車両に移動し、新宿を呼び止める。
そうすると新宿は少し不機嫌そうな顔をして、私の方に振り返った。
「なんだよ?」
「あ、いや……」
新宿を追いかけてきたが、何を言えばいいのか考えていなかったため言葉が詰まる。
しかし、このままでは新宿が不機嫌な理由がわからなくなると思い、思い切り話を切り出した。
「新宿」
「ん?」
「どうして、少し不機嫌なんだ?」
少しぎこちなく疑問を新宿に問い掛ける。
「……別に?」
ふいと顔を背け私は戸惑い、どうしたらいいのか、と黙って考えてみる。
しばらくして、新宿の方をちらりと見ると微かに肩が震えているのに気づく。
それを見て、私は確信した。
新宿にからかわれていたということに。
「新宿……」
「っ、ははっ……悪い」
悪い、といいつつも、まだ笑い続ける新宿を見てため息をつく。
「悪かったって」
「もういい……」
「けど」
心配して損した、と思っていると新宿は私の胸に頭を擦り寄せてきた。
「大門と話してるときはちょっと妬いたかな」
「……新宿」
私は新宿を抱き寄せ、口づける。
すると、新宿は驚いた表情をしたが、すぐに微笑み私に抱きついた。
都新