Nov

□少しの嫉妬
2ページ/3ページ


「新宿!」

隣の車両に移動し、新宿を呼び止める。
そうすると新宿は少し不機嫌そうな顔をして、私の方に振り返った。

「なんだよ?」
「あ、いや……」

新宿を追いかけてきたが、何を言えばいいのか考えていなかったため言葉が詰まる。
しかし、このままでは新宿が不機嫌な理由がわからなくなると思い、思い切り話を切り出した。

「新宿」
「ん?」
「どうして、少し不機嫌なんだ?」

少しぎこちなく疑問を新宿に問い掛ける。

「……別に?」

ふいと顔を背け私は戸惑い、どうしたらいいのか、と黙って考えてみる。
しばらくして、新宿の方をちらりと見ると微かに肩が震えているのに気づく。
それを見て、私は確信した。
新宿にからかわれていたということに。

「新宿……」
「っ、ははっ……悪い」

悪い、といいつつも、まだ笑い続ける新宿を見てため息をつく。

「悪かったって」
「もういい……」
「けど」

心配して損した、と思っていると新宿は私の胸に頭を擦り寄せてきた。

「大門と話してるときはちょっと妬いたかな」
「……新宿」

私は新宿を抱き寄せ、口づける。
すると、新宿は驚いた表情をしたが、すぐに微笑み私に抱きついた。
都新
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ