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□放課後アダージョ《番外編》
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柳瀬の家は明け方近いということもあって、柳瀬パパとママは寝ていた。蛍さんは彼氏さんとテレビを見ていたけど。
蛍さんの彼氏さんは蛍さんとカウンセリングを受けるようになって暴力はしなくなった。元々、結婚に対するプレッシャーに過度なストレスを感じていたらしい。

「お帰り。混んでたの?」
「まぁ…亜季に服貸してやってくれる?」

不思議そうな顔をする蛍さんに柳瀬はただ「寝る」とだけ返した。それを聞いて蛍さんは目を丸くして、それから小さく笑う。

「すいません、いろいろと…」
「いいのよ、気にしないで」

私は蛍さんが用意してくれたパジャマを受けとる。あんまり体格が変わらないせいか、ピッタリだった。着替えて廊下に出たらすぐ側に柳瀬が立っていて驚く。
柳瀬は出てきた私をちらりと見ると、そのまま無言で私の手を引っ張る。あの、用意してくれた客間を通りすぎたんですけど…。

「柳瀬、」
「ん?」
「ここ、柳瀬の部屋だよね?」

何回か来たことのある柳瀬の部屋に連れてこられて、私は意味が分からず柳瀬を見上げる。柳瀬は何も言わず私を抱え上げると、私をベッドの上に下ろした。ついでに自分も上ってくる。
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