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□放課後アダージョ《番外編》
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次に起きたら柳瀬は既に起きていて、なぜか私の頭を撫でていた。目元を緩ませながらこっちを見ているからなんだか恥ずかしい。

「…おはよう」
「ん」

布団の隙間から呟くように挨拶したら柳瀬が立ち上がる。温もりが離れていって少しだけ寂しいと思ってしまった。「母さんがお節、あるって」「起きます」そうだ。お節を用意してくれるって言ってたんだ。
私が起き上がるのを待っていた柳瀬が、おもむろに私の頭を撫でる。不思議に思って柳瀬を見上げたら「寝癖」とだけ答えた。

「直った」
「…ありがと」

なんだか恥ずかしいから、俯きがちにお礼を言ったら柳瀬が笑う。…柳瀬、楽しんでない?
柳瀬に続くように部屋を出て一階に降りていったら、美味しそうなコーヒーの匂いが漂ってきた。

「おはようございます」
「おはよう。よく眠れた?」

食器を用意していた柳瀬ママに聞かれて頷いたら、柳瀬ママが良かったと笑う。私はお手伝いをしようと思ってキッチンに入ろうとしたけど、すぐに追い出されてしまう。

「亜季、」

結局、私は手招きされるままに柳瀬の隣に座った。
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