CLAP Novel

□君のトナリ
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□君のトナリで□

どんより曇った日曜の昼。
俺はなぜか彼女とホラー映画なんて見ている。

朝、電話があって「そっちに言っても良い?」なんて聞くから、ちょっとは期待したのに、まさか映画鑑賞だなんて。しかもホラー映画。

「愁?つまんない?」

美砂がクッションを抱えながら俺を振り返った。
そんなことはない、と言って微笑むと美砂はまた前を向く。

俺と美砂は一般的に言う幼馴染という部類だ。
それが恋人関係になったのはつい最近のこと。
だけど、ちっともそれらしいことが無い。
絶対に美砂は「幼馴染」の延長線上だと思ってる。

「愁、飲み物とってきてもいい?」
「いいよ。俺やるから。美砂は見てなって」

俺がそう言って立ち上がると美砂は嬉しそうに笑った。

あぁ・・・俺、この笑顔で朝のことは帳消しにできる。

俺は美砂のカップにレモンティーを入れて、自分のには炭酸飲料をいれる。
思えば、このレモンティーも美砂のためだけに買い置きしてる。
だってあいつが一番好きな飲み物だから。

「ほら」
「ありがとう」

美砂はにっこり笑って俺からレモンティーの入ったコップを受け取った。

やばい。マジで可愛いと思った。


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