Long Novel

□魔法使いのダンス
1ページ/265ページ


その日、家に帰ると出張から戻ったお父さんと知らない外国人が居た。神々しいまでの金髪碧眼のイケメンの登場に私は固まる。

「あら、お帰りなさい。帰ってたんならただいまって言わなきゃダメよ」
「た、だいま…」

あまりにもいつもと変わらない母親の姿に私は思わず言われた通りただいま、と言っていた。それからまじまじと見知らぬ外国人を見つめる。
私には外国人の友達はいない。当然のことながら目の前に居る人は知らない人だ。金髪さらさら! 睫毛長い!
とりとめもないことを考えながらその人をガン見していたら、金髪さんの顔が不機嫌そうに歪んだ。あ、さすがに失礼だったか。

「絵美、帰ってたのか」

久しぶりに聞いた声に振り返れば着替えたらしいお父さんが立っていた。嬉しそうに笑うからつい私の頬も緩む。

「ただいま! お土産は?」
「……テーブルの上」

すぐにお土産をねだる私に、お父さんは少し悲しそうだったけどすぐに紙袋を渡してくれた。さっそく中を物色。なるほど。今回はチョコレートか。
中身を物色していると聞こえた舌打ち。顔を上げたら金髪さんと目が合った。

「………」

鼻で笑われた。あれは確実にバカにした笑いだ。
なるほど。どこのどいつかは分からないけど敵として認定したからな、コノヤロウ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ