Short Novel

□失恋ラブソング
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報われない恋だと知っていた。

初めて会ったのはあたしが中学生であなたは大学生。優しく笑いかけながら挨拶をしてくれたあなたを、私は一目で好きになった。
そして知った。あなたが大好きで大事な姉さんの恋人だってこと。会った瞬間にあたしは失恋して。
それでもあなたへの想いを断ち切れなくて。ずるずると引きずったまま、私も大人になった。

[結婚、しようと思うの。剛さんと]
[…そう]

それはすごく自然なことだと思った。あたしが大人になるということは姉さんたちも年を重ねるということで。
喧嘩らしい喧嘩をしたことが無さそうな二人は、順調に交際を進めていた。端からも分かるくらい、幸せそうだった。…だから。

[お祝いしてくれる?]
[もちろん。おめでとう、姉さん]

嬉しそうにはにかむ姉さんを見て、あたしも笑う。姉さんとあなたの幸せを願っているから。あたしはあたしに嘘をついた。自分の気持ちに蓋をして。
――明日、あなたは姉さんと結婚する。
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