Short Novel

□彼女の事情、彼の行動。
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私は通りの向こうから家に明かりが点いているのを確認する。玄関には猫のエサの皿がひっくり返ってた。どうやら彼女は帰ったらしい。私は預かっている合鍵で玄関を開けた。

「ケイちゃーん! 生きてる?」

反応なし。寝てるな、これは。私は勝手に靴を脱いで家に上がって、聞こえた物音に身を固くした。やがて部屋の奥から半裸の男が出てきた。見知ったその姿に、私は安堵の息を吐き出す。

「脅かさないでよ、もう…」
「……腹減った」

ボサボサの頭を掻きむしりながら出てきたケイちゃんにため息を溢しながら、私は散らかったテーブルの上を片付けた。
冷蔵庫の中身はこの間私が開けたときと何一つ変わっていない。ケイちゃんが自分で料理をしない人なのは分かってるけど、さすがに不安になる。ちゃんと食べてるのかな。

「何食べたい?」
「オムライス」

すぐに返ってきた返事に苦笑する。そういえばケイちゃんは昔からオムライスがすきだったっけ。そんなことを思いながら、私は冷蔵庫から卵を2つ取り出した。
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