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□魔法使いのダンス《番外編》
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駅から出たとたん、冷たい風が私の身体を刺した。思わず首に巻いたマフラーを引き上げる。
「さむっ!」
寒波はすぐそばまで来ていた。私は手袋をしっかり付けると、事前に頭にたたき込んでおいた道順を辿る。
これから起こることを考えたら、ついつい頬が緩んだ。にやにや笑いながら歩いていたら気持ち悪いからなんとか堪えているけど。
「会うの、久しぶりだからなぁ」
忙しくてなかなか自由な時間が持てなかった。今日のことを連絡してくれたベルナルドのことを思うと、自然と胸が熱くなる。
「えっと、ここの信号を渡って……」
そしたら歩道橋を越えてすぐの場所にあったはず。逸る胸を抑えながら、私は交差点へと向かい、変な外国人を見つけた。
「…………迷子?」
鞄を持って狼狽える短髪金髪の外国人。間違いなく迷子。
一瞬、どうしようか迷った。声をかけるべき? ……見捨てたらどうなるのかな。