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□放課後アダージョ《番外編》
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「あ、」

広げたおみくじには大吉の文字。隣から私の持っているおみくじを見た柳瀬は「大吉だ」と驚いたように呟いた。
クリスマスのリベンジってわけでは無いけど、私は無事に柳瀬と初詣に来れたことに安堵してる。この一週間は自分の体調管理に命を賭けたと言っても過言では無い、はず。
両親が海外に居るという事情を知ってる柳瀬は、私を大晦日の日に家に誘ってくれた。一人で年越してもつまらない、と言って。おかげで私は年越しそばも食べれたし、紅白も皆と見たし、ゆく年くる年で新年を迎えた。
そのまま柳瀬に引っ張られるように近くの神社に連れてこられる。時刻は真夜中と言ってもいい位なのに、予想外に人が居て驚いた。

「柳瀬は?」
「吉」

見せられたおみくじには吉と一文字書いてある。今年受験生の私はなんとなく、学問の欄を見てしまう。柳瀬のはこつこつやれば叶う。と書いてあった。私は自分のを見て、固まる。

「亜季?」

様子の変わった私を柳瀬は不思議そうに見た。「なんでもない!」咄嗟に私は首を振る。私はそっと手元の大吉のおみくじの恋愛欄を見た。
そこには愛を捧げよ、幸いありと書いてあった。
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