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□放課後アダージョ《番外編2》
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「付き合ってください!」
聞こえてきた言葉に私は固まる。急いで物陰に隠れたら案の定、告白されているのは柳瀬だった。なんとなく気になって、私はそのまま物陰に隠れる。
「悪いけど…俺、彼女居るから」
申し訳なさそうに断る柳瀬。続いて聞こえてきた女の子のすすり泣くような声。私は今さら離れるタイミングを失ってしまい、結局息を潜めて成り行きを見守った。
「分かりました…あの、でもこれだけでも…貰ってください」
何かを鞄から取り出す音。それを聞いて私はすぐにピンと来た。柳瀬は沈黙したまま受け取らないが、帰りもしない。
やがて「お願いします!」と女の子が柳瀬に押し付けるようにそれを渡し、廊下を走っていた。私は女の子が見えなくなるまで待ってからそっと柳瀬の様子を伺う。
「…………」
柳瀬は渡された箱をしばらく見たあと、やがて諦めたように手に持って歩き出した。私はその背中を見送ってから、自分の手に持っていた紙袋を見る。
「……はぁ…」
そこには綺麗にラッピングしたチョコが入っていた。