Long Novel

□繋いだ手は。
2ページ/127ページ


静かな図書館が俄かに騒がしくなった。あたしは無意識に眉間に皺を寄せる。

「紗智、眉間に太い皺が一本」

向かいに座っていた杏佳がそう言ってくれたがあたしにはどうすることも出来ない。
あいつだと思えば思うほど眉間の皺が太くなりそう。このまま刻みこまれたらと思うと本気で怖い。

「…杏佳。もしかして…」
「えぇ。彼ね」

あたしは思わずうめいた。
どこまであたしの平穏無事な生活を邪魔する気なのだろう。
入ってきたのは男子三人。白衣を着てるから理数系の人達。しかし問題はそこじゃない。女子の目当ては真ん中の男子。

「相変わらず人気ね」
「…どーでもいいわよ」

男子三人はあたしたちがいる机より三つ奥に座った。
斜め向かいに座られたのであたしはあいつから見えないか不安で一杯だ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ