Long Novel

□電波的恋愛事情
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私はオフィスビルを見上げた後、気合いを入れて中に入る。来たエレベーターに五階を押しながら乗り込んだ。
私がアルバイトに入ったのは某編集社だ。仕事と言ってもオフィス内の雑務と、出来上がった原稿を受けとるくらいらしい。

「失礼します…」

会社の名前が入っている入り口のドアをそっと開けると、受付のお姉さんにご用はなんですか?と聞かれたのでアルバイトのことを説明する。

「では、あちらに編集長が待っていますので」
「はい」

私は受付のお姉さんが指差した方へと視線を向ける。応接室と思われる部屋を見つけたので、扉を二回ノックした。中から「どうぞ」と声が聞こえる。私は促されるままに室内に入った。
中には立派なソファーが向かい合うように一つずつあり、その間にこれまた立派なテーブルが置いてあった。
編集長と思われる人は三十代後半と思われるくらいの女性だった。入ってきた私に微笑みかけると「どうぞ」と目の前のソファーを勧められる。私は「失礼します」と断りを入れてからソファーに座った。

「バイトの華山美和さんでいいかな?」
「はい」

返事をしたら引き出しから書類みたいのを出した。たぶん、私の履歴書だと思う。というか普通、バイトの面接で編集長とか出てくるのだろうか。

「それでね、あなたに頼みたい仕事があるんだけど」

私の疑問はあっさり解決した。
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