Long Novel

□ストイック・ラブ
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転がり落ちたその人は腰を押さえながら悶絶した。だけどあたしはその背中を容赦なく蹴る。

「った!」
「出てけ」

なんでこいつがここに寝てんの。よりによって一緒のベッドに潜り込んでくるし。微かに香るお酒の臭いに私は頭を抱えたくなった。
どうして弱いのにお酒を飲むのか。分かってるよ、付き合いってやつでしょ。でもあたしに迷惑かけるほど酔わないでよ。

「ちょっ……吐く」

蹴っていたら気持ち悪くなったのか口を押さえてうずくまった。あたしは仕方なく丸くなる背中を擦る。
見ればさっきまで真っ赤だった顔は真っ青になっていた。「水飲む?」吐かれたら困る、と思って聞いたけど返事なし。

「隼人?」

顔を覗き込めば目が閉じられていた。頬をつねっても反応は返ってこない。これはもしかして寝てる?

「………」

隼人の腕を叩いてもつねっても反応が返ってこなかった。完全に寝てしまったらしい。あたしは起こすことを諦めた。
床にうずくまる体をベッドの上に引き上げて肩まで掛け布団を掛けてやる。穏やかな寝顔がなんだか憎い。

「…気持ち良さそうに寝やがって」

人の気も知らないで。
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