Long Novel

□僕らの内緒の秘密基地
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携帯のアラームが聞こえる。目を開ければ見慣れた天井が目に入った。私は寒い部屋に身を震わせながらも起き上がる。
懐かしい夢を見た。初めて晴と喧嘩した日の夢。今となっては理由も覚えていない、些細な過去だ。

「莉子ー? 起きたの?」
「うん」

起こしに来たお母さんに返事をして私はゆっくりベッドから這い出る。洗顔をするために洗面所に向かった。
洗顔を済ませてから一階のダイニングに入る。テーブルの上には一人分の朝食が準備がされていた。

「今日は晴くんは来ないんでしょ? のんびりしていて大丈夫なの?」

忘れていた。今日は晴が迎えに来ないんだった。私は少し急ぎながら口の中にパンを詰め込む。それからすぐに制服に着替えた。

「忘れ物はない?」
「うん。行ってきます」

玄関を開ければ冷えた風が私の体を突き抜けた。マフラーをしっかり巻いてから家を出る。
晴はもう行っちゃったのかな。そう思っても、私の目は晴の姿を探していた。
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