Short Novel
□シュガーレス・ナイト
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シュウちゃんと私は遠い親戚という肩書きの赤の他人だ。身寄りのない私は親戚中をたらい回しにされ、最終的にシュウちゃんのところに預けられた。
ホストで働き始めたばっかりのシュウちゃんは実家を飛び出して、ようやく自活できるようになったばかり。はっきり言って私を引き取っている場合じゃなかった。
『…私、明日にでも出ていきますから』
『え?』
私は正座で向かい合うこの空間が気まずすぎて、気がついたらそう言っていた。まぁ元からそう考えてたし。
シュウちゃんは何を言われたのか分からないって顔で私を見た。そんな顔する必要ないのに。どうせ厄介者って思ってるんでしょ。
『施設のお世話になります。引き取ってくれるとこを探すので、』
『あのね、』
捲し立てるように話す私をシュウちゃんが止める。びっくりして口を閉じればシュウちゃんがにっこり笑った。
『出ていく必要はない』
『でも…』
『君はここに居て良いんだ』
ここに居て良い。そんなこと、言われたことなかった。いつも邪魔者扱いで、安らぎなんかなくて。
『っ、』
つい気が緩んで、私の目から涙が出た。止めようとしても涙は次から次へと溢れ出る。そんな私を、シュウちゃんは優しく抱き締めてくれた。