短編
□甘い放課後
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「今日、部活ないんだ」
「良かったね」
「だからさ、一緒に帰ろうぜ」
私は良いよと言いかけた。でも、それを言う前に、黒板に書かれた日にちが目に入る。そうだった、今日、放課後は委員会があるんじゃん。あーあ、せっかく守からのお誘いだったのにな。サッカー部は休みが少ないから、一緒に帰れるなんてめったに無いのに。
「ごめんね、今日、委員会なの」
「え、あぁ、そっか」
「だから、遅くなるんだ」
「待ってるから」
「悪いよ、せっかくの休部なんでしょ」
ほんとに遅くなるんだ。得にすることも無いのに、たまーに集まって、担当の先生の長い話を聞くだけ。きっとあの先生寂しいんだよ。だから、逆らえない私達を集めるんだ。…だったら、サボろうかな……。んー、ダメだダメだ。サボったら何言われるか分からないし。
「ほんとに、ごめんね」
「気にすんな!また今度で大丈夫だからさ」
「奉仕活動を行おうと思います」
生徒からブーイング。ま、当たり前か。今日は呼び出して長い話を聞かせたうえに、これだもん。私はぶっちゃけどうでもいーかなって。だって、こんなところでぶーぶー言ったって、守はもう帰っちゃったんだから。
風が良い感じに入る窓側で、ずっと守のことが頭から離れないでいる。やっぱりサボれば良かった。外を見たら、校門に向かって楽しそうに帰って行く生徒達が居た。良いな。私、なんでこんな委員会に入っちゃったんだろう。
「ーーーー!」
「……?」
叫び声が聞こえた。
校門に向かう生徒達の中から、逆方向に走って来る誰か。誰だろうと思っていたら、私を見付けてその子はまた叫ぶ。ぶんぶんと手を大きく振っていて、よく見たらあの子は守。
「先生!お腹痛いから帰ります!」
「…え?」
もう良いや。こんな嘘ばれたって構わない。今は、守の所に行ければ、それで良いんだ。先生の許しももらわず、ただ走り出す。走って、走って、やっと外に出たと思ったらそこには守。鼻を擦りながら彼は笑った。
「来ちゃった」
end
久しぶりだなぁっ、円堂の話って。久しぶりだからこんなに下手くそとかじゃなくて、これは元からです。
岡田理紗