短編
□分かってるけど、
1ページ/1ページ
「何、その目」
目の前で私を睨みつけるネロ。私は夕食に、サラダを出しただけじゃんよ。まぁ、確かにネロが野菜嫌いなのは知ってる。でもね、野菜は体に良いんだよ。分かってないよね、最近の子は。「そんな目、されてもこれだけは食べてもらうから」って、私もお返しに睨み返すと、頬っぺたをぷっくり膨らまして拗ねるネロ。
「………」
嫌そうに、ミニトマトにプラスチックのフォークを突き立てようとしたら、彼を嘲笑うみたいに、トマトはコロコロとお皿の外に。何回やっても結局は同じ。
「野菜に嫌われちゃったね」
「そんなことない」
一生懸命に手を動かして、トマトを追いかけるネロの真剣な顔に、ちょっとドキドキ。あー、可愛い!ぎゅうってしたい!
分かってるけど、
(抱きしめても良い?)
(ダメだっ)
皇様リクエスト!
20100524