シリーズもの
□暑すぎる、熱すぎる
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暑い。なんだこの気温は。雨でじとじとしてて、何もやる気がおこらない。スカートの中は、今、私に引っ付くじめじめ感より最悪にむしむししてて、やったら大問題だけど、スカートをめくってばさばさしながら走り回りたい。それに、ハイソックスとかありえない。あぁ、もう全てを脱ぎ捨てて、冬の積もり積もった、ふかふかの白い雪の中に飛び込んでやりたいくらいだ(まぁ、冬は冬でやなんだけど)。泳げないけど、プール入りたい!クーラー、ガンガンきかせて部屋でごろごろしたい!
「暑い?」
晴矢はそんな私とは反対。整った顔には、不快な汗なんか流れてないし、暑がる私を馬鹿にしたみたいな涼しげな笑顔。「俺、平気」暑いって言ってやれば、親指を自分に向けてへらへらとし始める。よく、そんなに笑ってられるなぁ。馬鹿にされたことより、そっちが気になってしょうがない。どうしてこの暑さの中で、奴は笑顔なんだ?
「お前が肉のコート纏ってるからなんじゃねーの?」
「は、ムカつくんですけど」
だってそれ、私が太ってるって言ってるようなもんでしょ?私、これでも痩せたんだから!むっくりしてるように見えるのはきっと筋肉。筋肉のせいで体格がよく見えちゃうんだよ。脂肪じゃないから。
「わりー、わりー」
「……」
「今の冗談な」
「ほんとに?」
「あぁ。あとこっちも嘘」
「えっ!…うわ、ちょっと!」
急に腕を引っ張られて、私は抵抗も出来なく、晴矢の腕の中へ。さっきまで、暑くないと言い張っていたはずの、彼の身体は、まるで走った後みたいに暖かくて、今の私にはむしむししてるように感じる。ワイシャツから伝わってきたのは、晴矢の体温、そして汗。あぁ、熱い。
「俺も、暑いから」
20100520