短編2
□ごちそうさま
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(千鶴と沖田と風間)
ごめんなさい、と小さく呟く。
けれどきっとこの声は聞こえてない。私がそうさせたから。
でも悪気はなかったの、信じてくれますか、総司さん。
「悪気?なにを言っている」
だけど鬼は言うのです。私と同じ鬼は。
私と似ても似つかぬ風貌の鬼は、私に言うのです。
「だから言ったのだ。鬼と人は結ばれることなど、ない」
鬼はその靴の先でこつんと倒れている総司さんの頭を蹴ります。
当然怒ります、私は。
私の夫になにするのですか、って。
だけど鬼は嗤うのです。
「その夫の甘美な血を全て飲んだのは誰だ」
あぁ、
鬼の言葉で私は言葉を失くします。
だって、夫の甘美な血を耐えきれず最後まで飲みきってしまったのは間違いなく私だから。
でも、美味しかった
夫の血は、どんな食物にも勝ります