短編2

□反比例
1ページ/1ページ

(斎藤)






浪士と戦った。斬った。殺した。

いつもと変わらぬことなのに、最近は、違う。




(…俺はどうしたのだろう)


血に濡れた刀を見下ろし考える。

あぁ月が綺麗な夜だ。血が妖しく光るその様は、本来はおぞましいもの。そう本来はおぞましきもの。おぞましい。


(…罪の意識か?今更?いや違う…)


だがこの変化が千鶴が及ぼすものなのは確か。

人を斬る刹那に香る匂いと笑顔の残像そして優しい声。



(……今更、人を斬らぬなど…)

出来るはずがない。





夜が、ふける。

























愛を知った獣


愛を知れば獣は弱くなる

人は強くなる

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ