短編
□遠くの夢
1ページ/1ページ
(千鶴と平助とお千)
行かないで。
その言葉だけは何だか言ってはいけない気がして、唾を飲み込んだ。
だめだ、我儘を言っちゃいけない。
彼らは武士なのだ。そして、彼らは戦うことを求めている。
だから、私が口に出しちゃいけないんだ。
私は黙って、彼らのあとに続こう。
私は黙って、彼らの後ろ姿を見ていよう。
黙って、彼らの支えとなれるように、
彼らと行けるなら私は……
嘘。ほんとは、ほんとは、
(千鶴が授業中寝るとかめずらしいよなー)
(ねぇ。あ、なんか寝苦しそう。嫌な夢でも見てんのかしら)