短編

□学校の7不思議
1ページ/1ページ

(おーる)





七不思議の一つ目

『夜の見回り中に誤って階段から転落した教師が幽霊になって、未だに見回りをしているらしい』





いちおう新聞部に所属するお千がその謎を追求したい!とのことで…




「…どうしようお千ちゃん。私、結構だめかも」

「なに言ってるのよ!夜の学校とかテンション上がんない?」

「分かるそれー。俺今テンションhighだぜ」




夜の学校に忍び込んだ3人。

しかし千鶴はもうこの時点で青ざめている。

残りの2人は何故か楽しそうだ。


まったくこの2人は…とため息をつきかけたとき、前を歩くお千が足を止めた。



「…ここの階段が、その教師が誤って転落して死んだところだと言われてるわ」



そこは2階に繋がる階段。

さすがに夜なので階段の先は真っ暗闇。



…ここ、ですか。千鶴の引き攣った声が辺りに響く。




「…なんか、寒ぃな」


ぼそっと呟いた平助を千鶴は軽く小突く。



「へ、変なこと言わないでよ平助君」

「だ、だってここだけ空気違くねぇか?」

「ふふ、もしかしたらほんとに出るかもね」



ちょ、やだお千ちゃん!

怖がるような千鶴の声とお千がシャッターを切った音はほぼ同時だった。

そして更にその音にかぶるように静かな廊下に足音が響いた。




―――――コツ、



「「「……」」」





「…あれ、いま…」

「……平助君、お千ちゃん。帰ろう!」

「もしかして本物の幽霊登場?!きゃっ特ネタだわ!」

「いーやぁぁ!私こういうの無理ぃい!」




――――――――――コツ、コツ…




そう千鶴が嘆いている間にも足音は近付いてくる。

どうやらその足音は階段の上から聞こえてくるらしく、一歩、また一歩と近付いてきている。

かたかたと震える千鶴。青ざめていく平助。それでもなにげに千鶴を守るように前に出ている。

そしてお千は嬉しそうに笑いながらカメラをかまえていると……




ついに足音は、階段のところまでやってきて、


そして懐中電灯の光が照らされて……、






「…え?懐中電灯?」

千鶴のきょとんとした声が発せられると、お千はあちゃーといち早く状況を理解したように唸った。





「…ありゃ、幽霊でもなんでもないみたいね。あれは…」

「おい、てめーら!そこで何してやがる!」






「…ただの見回りの先生、しかも、土方先生…」





それを聞いてお千はやばいぞみたいな顔をするが、逆に千鶴と平助は幽霊ではないと分かって安心する。

千鶴なんかは土方せんせーなんて言って駆け寄ろうとしようとした。



が、その瞬間。



「逃げるわよ!!」

「え?」「は?」


がしっと効果音がしそうなくらいお千に腕を掴まれた千鶴と平助。

いきなりのことに目がテンになっている。

そしてそのままお千は土方先生から逃げるように走り出した。



「ええ?!ちょ、なんだよお千!」

「お千ちゃん?!」

「あんた今土方先生に捕まったらお説教よ?それにまだ七不思議を見て回らなくちゃいけないし…」

「え?!まだまわんの?!」

「おいどこまで行くんだよ!」

「とりま土方先生から逃げるわよぉ!」

「あわわわ…」





「待ててめぇらぁ!逃げんじゃねぇ!!」

やっぱ戻ったほうがいいと思う、

その言葉は後ろから聞こえた怒号により遥か彼方へ飛んでいってしまった。





































土方先生降臨!



(結局幽霊出なかったねぇー)

(しょうがないわ…次の七不思議行くわよ!)

(俺帰りてーかも…)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ