あおぞらと僕ら
□かれ。
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「河上、だよな?」
俺、坂田銀時。よろしく。
そう自己紹介しながら白い頭の男は話しかけてきた。
真っ白な、くるくるした髪
真っ赤な、やる気のない瞳
自分に向けて差し伸べられた手。
それを握る事なく、拙者は何も言わず窓の外へと視線を移す。
なんとなく、この男とは関わりたくなかった。
関わってはいけない気がした。
「……おーい。聞こえてますかー」
「………」
それでも執拗に男は話しかけてくる。
正直鬱陶しい。
早く向こうへ行ってくれと切に願いながらそれでも無視を続けていると、不意に軽くなった頭。
驚いて振り返れば、拙者のヘッドフォンを持った銀髪頭。
「何を、」
「おにーさん、名前は?」
睨み付ける拙者に構わず、笑みを浮かべて知ってるくせに名前を聞いてくる。
「……河上万斉」
「そ。……よろしくな?万斉」
気安く名前で呼ぶな、と言いたかった。
なのに。
直に耳に届くその声が存外嫌いではなく。
つい、頷いてしまった。
(互いに最悪の第一印象)