小話
□早朝AM5:00
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…もぞ。
もぞもぞ。
「んー……」
早朝。河上万斉はふと目を開ける。
枕元の目覚まし時計を見れば、ちょうどアラームのなる10分前。
なんでまた、こんな微妙な時間に。
自然と出る溜息。
仕方ない、いっそ起きてしまおうと上体を起こしたその時、
ぐいっ
「!?」
急に腕を強く引かれ、布団の上に倒れこむ。
顔を上げた先にあったのは、見知ったもじゃもじゃ。
なんでいるんだ、
と言葉にする暇もなくぎゅう、と抱きしめられる。
「ぐっどもーにんぐ、ぜよ。バンザイくん」
「万斉でござる。…おはよう」
すまんのーマンザイくん、と笑う顔面に一発ぶち込んでやろうか、とも思ったが、がっちりと抱きしめられているせいでそれも出来ない。
仕方なく大人しくする。
あぁ、そういえばそろそろアラームが鳴るな、
ぼーっとそんな事を考えていると、抱きしめていた腕の力が緩んだ。
かり、と軽く耳たぶを噛まれる。
「っ、痛いでござる」
「…嘘じゃ」
万斉くん、好きじゃろう?
…まったくこの男は。
肌蹴たシャツの中に手を入れられ、肌を撫でられる。
「くすぐった、」
「万斉」
ジリリリリリ
早朝、AM5:00
交わした口付けは血の味がした。
(痛い)
(万斉くん、噛むから。)
end