デュラララ!!

爪跡 臨帝
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ちょっと、ほんのちょっとだけ、友達の爪が頬を掠めたんだ。

それだけなのに、


「――――おぇ、」

ビチャビチャと床に散乱する嘔吐物。

声になったのは最初のなんとも言えない『おぇ』と言う言葉だけで後は声にならない。

「…………。」

僕の目の前にいる人物は何も話さなかった。

その人の足元に転がっている、肉の塊は異臭を漂わせ、僕の嘔吐感をまた蘇らせる。

「――――スー………。」

一言目は息を吸う音で二言目には、

「ほら、おいで?」

赤くなった、右手に誘われて近寄る。

「――――!!!!!」

突如、頬に痛みが走る。

「この傷………見てると腹立たしいね、」

「イッ!!……ァ、やめ、痛…!!」

頬の傷に爪をたてられ血が滲む。

「ああ―………むかつくよ……殺してもまだ足りない。」

「!!! お願、やめ、て!!!」

落ちている死体を踏み付ける足に縋り付いた。

「帝人君も帝人君だよね………俺以外の人間に触れさせるなんて……」

「ッ……!!」

頬を触られて、顎を引かれる。

「そうだ、どうせなら監禁しちゃおうか?」

「…………え?」

臨也さんが腰を屈めて僕を抱きしめる。

「俺だけ見て生きて?他は何もいらない……。」



彼は、泣いて、いた………。

綺麗な顔が涙で歪んでいて、ひどく綺麗で自分は滑稽だと思った。

「…………はい、」

「………?」

「僕も………臨也さんだけ見て生きたいです。だから、どうぞ。」

そう言って右手を差し出す。

「二人で………生きてけたら、幸せですね。」

そう笑った。

彼は涙を浮かべながら彼もまた綺麗な笑顔を浮かべた。






俺は、彼を愛してる。

僕は、あなたを愛してる。

それだけでいい。

他は何もいらない。


最後に、俺は君の爪跡にナイフを突き立てた。

ほら、これで全部俺の物。





end

狂愛好きです。

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