青エク夢
□好き好き大好き超愛してる!
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「ん‥‥」
隣から、声変わりしたての低音が発せられ温度が動くのを感じた。そろそろ彼の起きる時間なのだろうか。
ギュッ‥‥‥
‥‥‥‥え。
予想外の嬉しい展開。中学生にしては大きなガタイの彼は、私の体温を感じとってか、抱き着いてきた。
『(かかかっかわっ‥‥かわいいっ‥‥!!)』
すると何か違和感を感じたのか彼は片目を開けて現状を把握しはじめる。差し込む朝日、白いふかふかの布団。腕の中には私。
「なんで俺の布団に入っとるんやぁぁあああああ!!!」
朝から坊のかあいらしい声が勝呂家に響き渡った。
『え、起こしてあげようと思って。』
「いつも自分で起きとるわ!大体起こしにくるだけでなんで布団に潜り込む必要があんねん、アホ!」
『んもぅ、竜ちゃんったら!朝から濃厚なハグしてくれたのに照れちゃって〜』
「いっぺん往生せぇや。とりあえず俺の布団から出ぇ。」
『やだぁーっ!』
むぎゅーっと俯せで布団に顔を埋める。するとふわりとある香りが鼻を擽った。
『あ、坊のにおい‥‥』
「どつくで。」
いやん、真顔で言わないでよ。あー、いいにおい。
くんかくんか。
更にすんすんと鼻をならして息を吸うと一発後頭部をどつかれた。ひどい!目上の、その上女性に手をだすなんて!そんな子に育てた覚えはありません!と喚起すれば、育ててもろた覚えはこれっぽっちもないわ!とバッサリ切り捨てられた。
『もう出るの?』
「おん。」
彼はいそいそと朝のジョギングの準備をし始めている。時計を確認すると、まだ5時。はぁー、がんばるなぁ。お姉ちゃんってば感心しちゃう。だなんて軽口を心の中で呟いた。
『坊、坊。』
囁きよりも小さな声で年下の彼をすがるように呼んだ。
綺麗な身体なのに。わざわざ進んで傷つけるだなんて。和尚さまも女将さんも、みんな反対してる。
けれどまた、彼の頑固な決意があることも知っている。だから私は、私だけは頑張れと背中を押した。
彼は優しい。優しすぎるよ。そんな彼は他から何を言われようとも祓魔師を目指す。絶対に意志を変えないだろう。
だから、私は。
でも、本当は。
葛藤するウラハラの心。
「なんや。」
聞こえてないと思ったのに。
それなのに彼は答えた。
『ええにおい。』
ごまかすようにそう言えば、もう一発いるか?と問われたので丁重にお断りした。
すると彼はため息をつく。
そして彼は部屋に鍵付けてもらおかな。と小さく呟いた。
ちょっとちょっと、聞き捨てならない言葉がお姉さんにバッチリ聞こえてますよ、お坊ちゃん。
ふすまに鍵なんて邪道よ邪道!
(鍵付けられました。)
(……はっ!!まさか反抗期!?!?)
(やかまし!)
どーやって(^P^)??ww
意外と文字数すくなくてびっくり(笑)
120309 真宮 瑠榎