笛!
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今日も今日とてリハビリに励む日々。ここの病院はプロのスポーツ選手が掛かり付けにする程の技術と施設をもった最先端をいく病院だ。
だからかこのリハビリルームには有名人が来ることも多々ある。この間も、周防選手がリハビリをしていたのを見かけた。彼の必死で、とても華麗とは言えないサッカープレイは、とても好き。ボールへの執心。得点(ゴール)への執着。
特に同じFW(ポジション)だからか、彼のサッカーへの姿勢に憧れを持ち、彼は私の目標となった。
‥‥‥流石にあのプレイを真似しようとは思わないけれどね。
ただ、あの執着心の話。
『‥‥ふっ‥‥ふっ‥‥っ‥‥』
あと、30回‥‥!
リハビリメニューのワンセットを終え、休憩をとっていると、歳の近そうな男の子がリハビリに励んでいるのが目に入ってきた。その子の隣にあるのは寄せ書きで黒くなったサッカーボール。
彼も、サッカーするんだ。
興味を引かれ、私は男の子に話し掛けた。
『こんにちわ。』
「こ、こんにちわ‥‥!」
笑いかけると輝かんばかりの笑顔を返された。なんなんだこのキラキラな笑顔は。
『見ない顔だね。』
「うん、今日からリハビリで。」
『そっか、お互い頑張らなきゃね!』
「うん!あ、僕、風祭 将。君は?」
『私は荒垣 陽菜。陽菜でいいよ。将はサッカーするの?』
「うん!サッカーするために、ここまで来た。」
そう言った彼の瞳は、先ほどの笑顔とはまた違った色をしていた。真っすぐな信念の篭った瞳。ああ彼は本気でサッカーが好きなんだ。そう心の底から感じれる、彼はそんな何かを持っている。
『そっか。じゃあ私と同じだ!』
「え?」
「陽菜ちゃーん!」
『あ、私二セット目しなきゃ。またサッカーの話しようね!』
「うん!」
ああ、きっと彼は。