笛!
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『‥‥っ‥‥くそ、くそっ‥‥‥動け、動けよ‥‥!!!!』
いくら頑張ったって元には戻らない。そんな言葉で諦めてたまるか。そんな思いも、痛みしか生まない足に掻き消されそうになる。
『なんで、なんでっ‥‥言うこと聞けよぉっ!!』
うああああああ!!!!!!!!
夜のリハビリルーム。彼女はここに居た。俺より先にここでリハビリを続けている、陽菜ちゃん。彼女以外に人はおらず、頑張っているんだなと様子を見ていると、彼女は弱音を吐いていた。
わかる、わかるよ。痛いほど。
『‥‥っ』
声をかけるべきか、否か。いつも笑顔な彼女が隠している部分を見てしまった。……できるなら、頼ってほしい。陽菜ちゃんが、一人で泣かなくていいように、支えになりたい。
辛いリハビリに堪えれているのは、皆からの寄せ書きが詰まったボールはもちろん、一番は陽菜ちゃんの存在があるから────‥‥‥。
「陽菜ちゃん。」
『!!!──‥‥将、』
声をかければ慌てて涙を拭う陽菜ちゃん。
「擦ると腫れちゃうよ。」
『あ、うん‥‥。』
「陽菜ちゃんは、頑張ってるね。」
『‥‥‥‥‥。』
「でも、」
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥。』
「無茶しないでね。頼りないかもしれないけど‥‥俺でよかったら、頼ってよ。」
温かい彼の言葉に私は、涙を零した。
君と私は違うんだよ。
君は神様から愛された。
私は神様から嫌われた。
治る君と治らない私。
何が分かるの、
何を分かってくれるの。
口には出さなかったものの、胸の中ではグルグルと黒い感情が揺らめいた。こんなの八つ当たりだなんて知ってる。
だからでしょうか。
大切な大切な友達に、こんなこと思ってしまったから、
私ってば、やなやつ。