笛!
□05
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目を覚ませば、真っ白な天井が視界に広がった。体を起こして窓の外はもう暗かった。何時間、いや何日眠っていたのだろうか。
足を動かす度にツキリと痛む。ああ、やってしまった。
またサッカーから私は遠ざかってしまった。
「陽菜─…!」
『お母さ、』
出張が終わって日本にいるはずの母。ああ、連絡があってこんな遠くまで駆け付けてきてくれたんだ。
「馬鹿っ!どれだけ心配したと思ってるの、バカ陽菜!」
ぎゅっと、苦しい程に抱きしめられる。
『ごめ、ごめ…なさ─…』
「……陽菜。お母さんはね、」
ヤダ、言わないで──……!
「日本に一緒に帰ってほしい。」
お母さん、それは。
私に、サッカーを諦めろって、
言ってるの────……!!
『…!!ぉ、母さ…』
「ごめん。ごめんなさいね、陽菜。」
なんでまたお母さんが泣くの、
「お母さんが、我が儘で。」
違う違う。違うんだよ。
「陽菜が好きなこと出来るのが一番だとか言って、本心は…。」
心配かけて、お金かけさせて。
治る見込みもないのに。
我が儘なのは、私なの。
「陽菜にはもうサッカーしてほしくない。生活に支障がない程度なら、って。」
ご め ん な さ い 。
『ごめ、なさ…考えさせて……!』
ボロボロと、互いに涙で顔をぐちゃぐちゃにさせながら互いに謝りあっていた。
それでも私は、サッカーを諦められない。