ガラスの神

□微睡みの中の現世
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1騒動



有る屋敷で一人の仮面を身に付けた男が、廊下をズカズカと歩いていた。
男は1つの部屋の前に止まるとピタッと、止まる。
暫くすると、すうっと思いっきり息を吸い上げる。
「亜蓮!!貴様!!何度言ったら分かるんだ?!」
スッパァン!!と障子を開けて中にいる人に向かって怒鳴りつける。
「何ですか?父上。五月蝿いですよ。」
ジトーッと怒鳴られた少女が、男を見る。
「誰の所為だ?!誰の!!!」
「そんなに怒鳴らなくても聞こえます。で?何の用ですか?」
「何処に、実の父親に向かって毒を盛る奴が有る?!」
ヒュッと、持っていた扇子を少女に向かって投げつける。それを少女がヒョイと避ける。
「知りませんよ。そんな人いたんですか?」
少女が扇子で口元を隠しながら、しれっと言い返す。
「お前がやったんだろ!?お前が!!」
「大丈夫ですよ。父上なら毒ごときで死な無いでしょう?」
「普通に死ぬぞ!!??オマケにマムシを部屋に仕込むな!!」
「嫌です。唯一の楽しみを奪わないで下さい。」
「なっ!!お前は人殺しになる気か!?」
そう言って少女の肩をガシッと掴む。
少女はニコリと笑って、自分の扇子を懐から出してビシッと、男の手をたたき落とす。
オマケにもう一個の扇子で、鳩尾を思いっきり刺す。
「〜〜〜〜っ!!!!!!」
男は言葉にならない声で、後ろに下がり蹲る。
「いきなり掴まないで下さい。痛いじゃないですか。」
「・・・・・悪かった・・・。」
男はバタリと、畳に転がった・・・。
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