猫耳・狐耳ルルNOVEL

□恋狐三
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 俺は、ぽかぽかの5月の暖かい陽気に惹かれて、瞳がとろとろとしていた。
 今は昼休みで、いつもの神社のスザクの仕事の手伝いも休み時間中だからすることもなく、ごろんと巫女服のままで寝転がった。
 お昼も食べ終わって、現在は優雅に縁側でのんびりと横になって日向ぼっこをしていたのだけれど、暖かい陽気で横になっていては眠くなるのも当たり前だろう。
 ちなみに、現在俺が巫女服なのは、スザクの希望だ。
 神社に巫女さんはいないし、俺の巫女服が可愛いから着ていてほしいってお願いされたら、着ているしかないじゃないか。 
 今も余りの気持ち良さに、うつらうつらと瞳を閉じさせて、縁側の板にすり寄っていた時、とたとたと俺に近寄ってくる小さな足音が聞こえた。
 耳をぴくっと反応させて聞いていると、足音は聞きなれているスザクだとわかる。
 スザクの足音は、走っていても、歩いていても自然と彼のものだとわかるから、自分でも不思議だった。
 「ルル、昼寝中かな?」
 頭の上から、愛しさに溢れた優しい声が響いてくる。
 スザクは俺の横でしゃがみこんだのか、俺に少し影がかかった。
 俺の髪に指が通されて、何度も何度も触れる優しい指先が気持ち良くて、その手を取る。
 大きくて肉厚のある手に頬をすり寄せて、もっともっとして、と求めて、手のひらに唇を押し当てた。
 「スザク…もっと…」
 「うん、良いよ」
 スザクは空いている手の方で、俺の頭を何度も何度も繰り返し撫でてくれる。
 頭をそっと手で上げられると、俺の頭の下には硬い板張りの縁側の床はなくなった。
 その代わりにさらりとした布越しの膝に乗せられて。
 膝枕されるのは何回かあったから、それはスザクの膝だとすぐにわかって、俺はたくさん甘えようと頭をすり寄せた。
 スザクは俺の頭が痛くないようにと、何も言わないでもこうして気遣って、膝枕をしてくれるんだ。
 俺からお願いしなくても、それが当たり前のようにしてくれるスザクの甘い優しさは、愛されていることがとても伝わってきて、いつだって心地良い。
 「ルルは甘えたさんだね」
 スザクの指がすっとまた俺に伸びてきて、俺の髪に絡みつく指も、前髪を軽く引いたり梳いてくれる指も、とても優しい。
 触れられる気持ち良さに気が抜けてきて、すっかり緩んでしまった気持ちは、ぽんと俺の狐の耳としっぽをごく自然と出してしまう。
 「しっぽと耳が出てるよ?」
 「へ…き…」
 ここにはスザクと俺の二人きりしかいないから、スザクになら、スザクだけになら、俺が狐だって隠している狐の耳もしっぽも見られてしまっても大丈夫だ。
 「スザクになら…良い…」
 眠さではっきりと言葉を言えない俺は、口をもごもごさせながら呟く。
 そうすると、わかった、ととても嬉しそうな声が頭上から返ってくる。
 スザクの声は、ぽかぽかのお日様のような暖かい声で安心してさらに俺の眠さを誘ってくれた。
 「じゃあ、撫でるついでにしっぽなんかをブラッシングしようね」
 「ん…」
 寝そうになっているから、何を言われているかわからなかったけれど、スザクが俺を傷つけることなんてしないってわかっているから、返事を素直に返しただけだった。
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